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「雑念〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雑念の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
酒中日記」より 著者:国木田独歩
。今もその時の空の美しさを忘れない。そして見ると、善にせよ悪にせよ人の精神凝って雑念《ぞうねん》の無い時は、外物の印象を受ける力もまた強い者と見える。 材木の....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
た。 が、市九郎は一心不乱に槌を振った。槌を振っていさえすれば、彼の心には何の雑念も起らなかった。人を殺した悔恨も、そこには無かった。極楽に生れようという、欣....
自叙伝」より 著者:大杉栄
急にまた風邪の熱で頭の重いことが思い出されて来た。熱でばかりではない、いろいろな雑念で重いのだ。 僕は神近とはもうどうしてもお終いだと思った。彼女とできて半年....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
気もちには決してなれないのだった。 その上、私はまた小さな時分から、いろいろな雑念に悩まされる人間であった。雑念といってもいろいろとあるが、一例を挙げると、今....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
て自分自身でドライヴすることが出来たらさぞ愉快なことと思う。しかしながら私は大体雑念妄想の多い性質だから、ハンドルを握りながらすれちがった美人について考えたりす....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
これは一|心不乱に神様を念じ、神様と自分とを一|体にまとめて了って、他の一|切の雑念妄想を払いのける工夫なのであるが、実地に行って見ると、これは思いの外に|六ヶ....
幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
くのを見た。耳には木ッ端の音を聞きながら。 彼は気を落著けようとして眼を閉じ、雑念を拒止して心を落著けて腰を下した。彼は一つのひらたい丸い黒い花が、黄橙の心を....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
、最後の節が唄われていた。 小堀義哉の心の中は泉のように澄んでいた。 なんの雑念も混じっていなかった。死に面接した瞬間に、人間の真価は現われる。驚くもの恐れ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
鶴見はこの言葉を心の奥の奥、深淵の中で、うち返しうち返してみた後に、すべての暗い雑念を遠離して、この単純なる告白の言葉を得たものと信じている。複雑に徹した単純で....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
絵三昧の境地 絵筆を持って五十年、今の私は筆を持たない日とてはありません。何の雑念もなくひたすら画の研究にいそしんでおります。筆を持っている時が一番楽しく、貴....
棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
墨をすり紙をひろげて視線を一点に集めて姿勢を正せば、無念無想、そこにはなんらの雑念も入り込む余地はない。 私にとっては画室は花のうてなであり、この上もない花....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ば、羽衣さえ取返せば、人間なんぞにかかわりはないのだけれど、まだどうも未熟でね、雑念が交るから、正面を切って伎の上でもきっぱりと行り切れないんだ。第一、はじめ、....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
明する声、真の自己が自己に呼び掛ける声、教える声――しっかりその声を聴取なさい。雑念の蔭にその声を逃してはなりません。 人、ひとたび自己の信念のもとに、自分の....
むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
たのでしたが――。 その時から彼は私に縋って、熱心に鎮魂を始めました。しかし、雑念の多い彼はなかなか魂を鎮めるどころか、日に日に煩悶が加わって来るので、どうに....
塩鮭・塩鱒の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
。番茶ではちょっと不味いが、煎茶をかけての塩じゃけの美味さはお茶漬け中の逸品で、雑念をはらって没頭できるほどの味を持っている。さけの茶漬けは、まぐろやてんぷらの....