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雑木林
「雑木林〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雑木林の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
づいている自然を愛した。三十年前の本所は割り下水の柳を、回向院の広場を、お竹倉の
雑木林を、――こう言う自然の美しさをまだ至る所に残していた。彼は彼の友だちのよう....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
》の葉のごとく、おののかせたことであろう。
この三年間、自分は山の手の郊外に、
雑木林《ぞうきばやし》のかげになっている書斎で、平静な読書|三昧《さんまい》にふ....
「百合」より 著者:芥川竜之介
け抜けていた。裏庭の外《そと》には小路《こうじ》の向うに、木の芽の煙《けぶ》った
雑木林《ぞうきばやし》があった。良平はそちらへ駈けて行こうとした。すると金三は「....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
吻と息をした。ところがまた、知ってる通り、あの一町場が、一方谷、一方|覆被さった
雑木林で、妙に真昼間も薄暗い、可厭な処じゃないか。」 「名代な魔所でござります。....
「蠅男」より 著者:海野十三
が、ここには元、鉄の棒が入っていたのだ。その棒は彼が拾ってもっていた。あの宝塚の
雑木林の中で拾った先端にギザギザのついたあの棒である。あのギザギザは、蠅男が左腕....
「地球盗難」より 著者:海野十三
う。何れにしても奇怪なる起伏凹凸をなして居り、丘陵があるかと思えば、泉水が流れ、
雑木林があるかと思えば、巍然として洋風の塔が聳えたっていたりする。博士邸を囲る塀....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
。と、ゆるやかながら一つの峠を越えて、正面の眼界が一変した。左手の方が一面に低い
雑木林となり谷を作りながら向こうへ盛りあがり、正面の切り立ったような山の裾にぶつ....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
に握って、涙をこぼした。 「――さっき、兄ちゃんが沢山の夕刊を持って、この向うの
雑木林をぬけようとしていると、そのとき、あっという間もなく、頭の上からなんか大き....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
沈めて、颯と渡る風に静寂な水の響を流す。庭の正面がすぐに切立の崖で、ありのままの
雑木林に萩つつじの株、もみじを交ぜて、片隅なる山笹の中を、細く蜿り蜿り自然の大巌....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ないかね、ねえ、旦那方。」 「何しろ、そこで。」 と、促せば、 「と二人はもう
雑木林の崖に添って、上りを山路に懸っています。白い中を、ふつふつと、真紅な鳥のた....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
んだ山が見えたが、遠いと覚しく、峰の松が、鹿の彳んだ姿に小さい。藪に続いた一方は
雑木林で、颯と黒髪を捌いたごとく、梢が乱れ、根が茂る。 路はその雑木の中に出つ....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
静かに走るのを止めた。三人は又前のように、重いトロッコを押し始めた。竹藪は何時か
雑木林になった。爪先上りの所所には、赤錆の線路も見えない程、落葉のたまっている場....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
。――話をして、それから、その天狗はどうしたね。」 「この山は、どういうものか、
雑木林なり、草の中なり、谷陰なり、男がただひとりで居ると、優しい、朗かな声がした....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
事に女一人の手ではどうにも所置が出来ません。それで已むなくあきらめて、この邸内の
雑木林――、そこは蛇が出るので家人の近寄らないところです――、の栴檀の樹のもとに....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
や陸軍|被服廠に変ってしまった。しかし僕の小学時代にはまだ「大溝」にかこまれた、
雑木林や竹藪の多い封建時代の「お竹倉」だった。「大溝」とはその名の示す通り少くと....