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「雑穀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雑穀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
。裾《すそ》をからげて砲兵の古靴《ふるぐつ》をはいている様子は小作人というよりも雑穀屋の鞘取《さやと》りだった。 戸を開けて外に出ると事務所のボンボン時計が六....
星座」より 著者:有島武郎
な物売に出遇《であ》った。 その町筋は車力や出面《でめん》(労働者の地方名)や雑穀商などが、ことに夕刻は忙がしく行き来している所なのだが、その奇妙な物売だけは....
Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
揺れ動く方がいいのだ。自分が行ったり戻ったり立ち留ったりしていたのはそのためだ。雑穀屋が小豆《あずき》の屑を盆の上で捜すように、影を揺ってごらんなさい。そしてそ....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
余生を引き摺《ず》る人々によって形成されている、唯一の商業集落であった。雑貨店・雑穀屋・呉服店、小さな見窄《みすぼ》らしいそれらの店の間に挟まって、一軒の薄汚い....
単独行」より 著者:加藤文太郎
に称名川を遡って行きました。弥陀ヶ原側はところどころ崩れて大絶壁をなしています。雑穀谷の吊橋を渡ると道から少し離れていますが、小屋があります。ここで昼食をしまし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
るとさえ言わるる。富めるものは米一斗、あるいは五升、ないし一俵二俵と施し、その他雑穀、芋、味噌、醤油を与えると、それらの窮民らは得るに従って雑炊となし、所々の鎮....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
たろうか。それは隣村で起ったことであった。 隣村を白根村という。この白根村は、雑穀のできる農村であった。 事件が鉱山事務所に伝わったのは、その夜のことであっ....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
って一家は次第に回復した。チビ公の母は病気がなおってから店のすみにわずかばかりの雑穀を並べた、黙々先生はまっさきになって知人朋友を勧誘したので、雑穀は見る見る売....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
ら死にたい。 わがままいっぱい、人々が米もたべられずオカユもたべられず、豆だの雑穀を細々たべているとき、私は鶏もチーズもカステラも食べあきて、二万円三万円の夜....
食べもの」より 著者:佐藤垢石
てきたのである。 だから、山麓地方の農民は米を主食しなかったのである。つまり、雑穀をところの産物によって、選り好みせず大いに食って、大いに働いてきたのだ。 ....
」より 著者:犬田卯
――選挙ブローカーもやれば、墓碑の下文字も書く、蚕種、桑葉、繭の仲買いもやれば、雑穀屋の真似もやると言ったような存在――俗称「塚屋」で通っているこの五尺足らずの....
不在地主」より 著者:小林多喜二
四 「嘘こけッ!」 同じ石狩川でも余程上流になっていたが、雑穀や米を運ぶために、稀れに発動機船がポンポンと音をさせて上ってきた。その音は日....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
へ出るのを避けて、彼は裏手の方へ飛んだ。 重太郎の飛び降りたのは、美濃屋という雑穀屋の裏口であった。追手の一組は早くも駅尽頭の出口を扼して、他の一組は直ちに美....
世間師」より 著者:小栗風葉
れずに、蹲むか腰掛けかする所をと探すと、ちょうど取引会所が目についた。盛んに米や雑穀の相場が立っている。広い会所の中は揉合うばかりの群衆で、相場の呼声ごとに場内....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
食べる貧しさである。食うに困ったあげく、住吉橋の中川末吉という知合いの人の世話で雑穀商の仲間入りをさせてもらった。まぐさ屋もはじめ、かたわら酒、しょう油も商った....