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「雑草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雑草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
人を殺す事も、慣れれば、家業と同じである。言わば京の大路小路《おおじこうじ》に、雑草がはえたように、自分の心も、もうすさんだ事を、苦にしないほど、すさんでしまっ....
或る女」より 著者:有島武郎
ような土の上に大きな足跡が縦横にしるされた。まだ枯れ果てない菊や萩《はぎ》などが雑草と一緒くたに情けも容赦もなく根こぎにされるのを見るとさすがの葉子もはらはらし....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
た。彼れは道の向側の立樹《たちき》の幹に馬を繋《つな》いで、燕麦《からすむぎ》と雑草とを切りこんだ亜麻袋を鞍輪《くらわ》からほどいて馬の口にあてがった。ぼりりぼ....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
人の親子はどんどん押寄せて来る寒さの前に、小さく固まって身を護《まも》ろうとする雑草の株のように、互により添って暖みを分ち合おうとしていたのだ。然し北国の寒さは....
小作人への告別」より 著者:有島武郎
します。ここから見渡すことのできる一面の土地は、丈《た》け高い熊笹《くまざさ》と雑草の生い茂った密林でした。それが私の父がこの土地の貸し下げを北海道庁から受けた....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
がて梅雨も近かった。……庭に柿の老樹が一株。遣放しに手入れをしないから、根まわり雑草の生えた飛石の上を、ちょこちょことよりは、ふよふよと雀が一羽、羽を拡げながら....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
球の北端――そこでは人の生活が、荒くれた自然の威力に圧倒されて、痩地におとされた雑草の種のように弱々しく頭をもたげてい、人類の活動の中心からは見のがされるほど隔....
追憶」より 著者:芥川竜之介
い蝋燭をともしている。 八 蘭 僕は時々狭い庭を歩き、父の真似をして雑草を抜いた。実際庭は水場だけにいろいろの草を生じやすかった。僕はある時|冬青の....
親子」より 著者:有島武郎
を終わらない大豆畑すらも、枯れた株だけが立ち続いていた。斑ら生えのしたかたくなな雑草の見える場所を除いては、紫色に黒ずんで一面に地膚をさらけていた。そして一か所....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
たニタリと笑った。 その杉を、右の方へ、山道が樹がくれに続いて、木の根、岩角、雑草が人の脊より高く生乱れ、どくだみの香深く、薊が凄じく咲き、野茨の花の白いのも....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
たのは――不断ほとんど詣ずるもののない、無人の境だと聞いただけに、蛇類のおそれ、雑草が伸茂って、道を蔽うていそうだったのが、敷石が一筋、すっと正面の階段まで、常....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、縁を飛んで――跣足で逃げた。 逃げた庭――庭などとは贅の言分。放題の荒地で、雑草は、やがて人だけに生茂った、上へ伸び、下を這って、芥穴を自然に躍った、怪しき....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
の庫と、観世物小屋の間まで、わが家より半町ばかり隔りし。真中に古井戸一ツありて、雑草の生い茂りたる旧空地なりしに、その小屋出来たるは、もの心覚えし後なり。 興....
狂女」より 著者:秋田滋
は引上げて行った。隣の女の家は窓も戸もたて切ったままになっていた。そして路次には雑草があおあおと生い茂っていた。 年老いた下婢は冬のうちに死んでしまった。もう....
もみの木」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
がさがさに乾からびて、黄いろくなっていました。そして、じぶんはにわのすみっこで、雑草や、いばらのなかに、ころがされていました。金紙の星はまだあたまのてっぺんにつ....