雑踏[語句情報] » 雑踏

「雑踏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雑踏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
からぶらりと出た折竹が、折からの椰子の葉ずれを聴かせるその夕暮の風を浴びながら、雑踏のなかを丘通りのほうへ歩いてゆく。その通りには、「恋鳩」「処女林」と、一等船....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
められたかを必ず思い出すであろう。たとえ都市のまん中にいてもなお、あたかも文明の雑踏や塵を離れた森の中にいるような感がする。こういう静寂純潔の効果を生ぜしめた茶....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
は一分の揺ぎもしない彼には、骨というものがある。静かだ、ウエスト・エンド|通りの雑踏が蜂のうなりのように聴えてくる都心|紐育下町のなかにも、こうした閑寂地がある....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
盛んで、卯之花鮨とか、おでんとか、何でも八文で後には百文になったです。この両国の雑踏の間に、下駄脱しや、羽織脱しがあった。踵をちょっと突くものですから、足を上げ....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
遊女二つの雛段を飾ること なんにしろ明治四十一年の事とて、その頃は、当今の接庇雑踏とは異なり、入谷田圃にも、何処かもの鄙びた土堤の悌が残っていた。遠見の北廓を....
夜光虫」より 著者:織田作之助
日は雨とメーデーで闇市もさびれたが、今日の闇市はまだ昼前だというのに、ぞろぞろと雑踏していた。 揉まれるようにして、歩いていると、 「大将! 靴みがきまひょか....
中支遊記」より 著者:上村松園
に鳴かせあって日を暮らすという話などよく聞く。それと同じ気持なのだろう。こういう雑踏した街で、しかも角の真中に女が坐りこんで着物などのつくろいをしている。四辺は....
目黒の寺」より 著者:岡本綺堂
行かないが、いずれも由緒の古い寺々で、旧市内の寺院とはおのずからその趣を異にし、雑踏を嫌う私たちには好い散歩区域である。ただ、どこの寺でも鐘を撞かないのがさびし....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
に殖えて来た。柳屋のお清も駈けて来たが、唯わやわや云うばかりで手の着様がない。其雑踏を掻き分けて、ぬっと顔を出したのは彼のお杉|婆であった。彼女は例の如く黄い歯....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
がごとき弊、また少なからずという。 夏夜、人の涼を戸外に迎え、街上の往来極めて雑踏なるの際に当たり、寺院の僧侶は俗人中の篤志なるものに許して、街上説教をなさし....
西航日録」より 著者:井上円了
とく、夜中南京虫に攻められ、ほとんど安眠を得ざるには実に閉口せり。夕刻より街上の雑踏、コーヒー店の群集、あたかも先年博覧会のときのごとし。二十二日、本野公使に同....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
く、酒店に入りて酒の立ちのみするもの多きを見るは、英独の感染なるべし。市中人車の雑踏せるも、先年と大いに異なるを覚ゆ。しかして、セーヌ河畔に古書をひさぐ露店ある....
白い影」より 著者:小川未明
車はもはや使用されないまでに壊され、電車もまた脱線して、しばらくは、そのあたりは雑踏をきわめたのであります。そして、怪我人もできましたので、電車と自動車の運転手....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
まで眠った。 翌日、市長は素知らぬ顔をして市役所に出た。 市庁舎の前は、一大雑踏で市吏員の罷工団と婦人団体の義勇隊が監視の問題で大争闘を演じていた。 婦人....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
を一本寄付してくれたので、選挙事務所に千余名が集まり、大祝杯をあげたが、あまりの雑踏でデモのような状態となり、数十名の警官が出て取締りに当った。 この東京市会....