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難場
「難場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
難場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
と三人は自分に感じさせない一種の電気を通わせ合っているかも知れない」
今まで避
難場のつもりで夫の所へ駈け込もうとばかり思っていた彼女は考えざるを得なかった。
....
「新生」より 著者:島崎藤村
には人を通さなかった上に、あの港から海峡を越してしまうまでの間がまた旅するものの
難場《なんば》に当っていた。ひしひしと迫って来る物凄《ものすご》い海上の闇《やみ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
路と云えば云えもしようか、緑樹紅葉打ち雑り秋山の眺望は美しかったが旅人にとっては
難場である。その
難場の谿底路を甚太郎は先へと辿って行く。行くに従って谿底路は次第....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
る、将軍の上洛は二度にも及んで沿道の宿々は難渋の聞こえもある、木曾は諸大名通行の
難場でもあるから地方の事情をきき取った上で奉行所の参考としたい、それには人馬|継....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ら、ようやく彼は六月らしい日のめを見たが、今度は諸方に出水のうわさだ。淀川筋では
難場が多く、水損じの個処さえ少なくないと言い、東海道辺では天龍川の堤が切れて、浜....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
づかなかった。ただ、この深い木曾谷が昼でも暗いような森林におおわれた天然の嶮岨な
難場であり、木曾福島に関所を置いた昔は鉄砲を改め女を改めるまでに一切の通行者の監....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
るの形あれば、やがて雨となって地に下る、それだによって、このたびの試合はよほどの
難場《なんば》じゃ、用心せんければならん。が、しかし、結局は雨となって地に下る、....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
あの沢は下りられるかね」「どうして瀑がえらくて、とっても、下りられません、一番の
難場でさあ」こんな話が、私と嘉代吉の間に取り交わされた、笠ヶ岳はまともに大きく見....
「地図をながめて」より 著者:寺田寅彦
くこともおりおりはあるそうである。 北海道では熊におびやかされたり、食糧欠乏の
難場で肝心の貯蔵所をこの「山のおじさん」に略奪されて二三日絶食した人もある。道を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
大昔の橘姫の命様とやらの真似をしろとおっしゃるんだね」 「それよりほかには、この
難場《なんば》を逃れる道がねえのだから、お前さんにはお気の毒だが、乗合の衆のため....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
法を極むるに至れり」 云々というのが大体であるが、勝川春章に追われてから真のご
難場が来たのであった。要するに師匠と離れると共に米櫃の方にも離れたのである。 ....
「村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
物を返せとは云わねえ。何の俺が云うものか。とは云え楽屋をサラケ出せば、今長庵はご
難場なのよ。それはお前にも解っているはずだ。さてそこでご相談、何とお前の持ってい....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
嵐は益※吹き募り、雨はいよいよ量を増した。所は名に負う九十九里ヶ浜、日本近海での
難場であった。四辺は暗く浪は黒く、時々白いものの閃めくのは、砕けた浪の穂頭であっ....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
が加わったので、危く水に漬りそうにまで成った。それすら小虎は巧みに越した。もう其
難場は越したので、一息|吐くかと思う頃。 「あっ」 小虎の鋭い叫びと殆ど同時に....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
左上へと切抜ける時には、かなり激しい緊張を余儀なくされた。 ようやく無事にこの
難場をおえ、少し上の小さい緩傾斜の台地に落着くとすぐに食事にする。霧は相変らず辺....