難色[語句情報] »
難色
「難色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
難色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
結果はつまりやる事になったのである。もちろんそこへ行き着くまでにはお延にも多少の
難色があった。小林のような横着《おうちゃく》な男に金銭を恵むのはおろか、ちゃんと....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
すれば、当然椅子が浮いてこなければならないからだ」
「曖昧な反語はいかん」熊城が
難色を現わすと、法水はあらゆる観察点を示して、矛盾を明らかにした。
「勿論現在の....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
いつにない引き締まった表情で、彼の顔色を窺った。 「山路君とね。」 庸三は少し
難色を浮かべた。淡い嫉妬に似た感情の現われだったことは否めなかった。 「あまり感....
「火薬船」より 著者:海野十三
るのたぐいであった。 「酒? 酒はのませるが、もっと後のことだ」 ポーニンは、
難色をしめした。 「もっと後とは、いつのことですか。酒なんてものは、はやい方がい....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
一 白鷺明神の祠へ――一緑の森をその峰に仰いで、小県銑吉がいざ詣でようとすると、案内に立ちそうな村の爺さんが少なからず
難色を顕わした。 この爺さんは、 「――おらが口で、更めていうではねえがなす、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
お雪ちゃんをして、この胆吹の山の山道を懐しがらせるようにしないものでしょう。その
難色を見て取ったお銀様は、附け加えて言いました、 「それから頂上へ行くと、とても....
「お奈良さま」より 著者:坂口安吾
りでなく、町内婦人会や街頭に於ても発言することを好み、彼女の向うところ常に敵方に
難色が見られた。 この糸子がソメ子にまさるお奈良さまギライであった。葬儀の直後....
「イプセン百年祭講演」より 著者:久保栄
には、再演ものの「幽霊」が選ばれました。この「幽霊」については、土方さんにだいぶ
難色があったようで、「人形の家」と「ゴースツ」では、同じような色彩の――つまり婦....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
に不殺生戒をもってわがチベット行の餞別にせよと勧告致しました。
始めはすこぶる
難色がありまして「どうも困った、これを止してしまっては外に何にも楽しみがない」と....
「三国志」より 著者:吉川英治
の消息が分り次第、いつでも立ち去るというのは困るが」 と、その一箇条には、初め
難色があったが、張遼がここぞと熱意をもって、 「いや、関羽が、ふかく玄徳を慕うの....
「三国志」より 著者:吉川英治
、一族の大将|楊柏に相談すると、楊柏は、 「さあ、どうでしょうか?」と、すこぶる
難色ある顔つきだ。 「いけないかね」 「考えものでしょうな」 「どうして」 「勇....
「三国志」より 著者:吉川英治
しいでしょう。彼をおいて適任はないかと思います」 「陸遜を? ……」と孫権は面に
難色を示しながら、 「むかし周瑜は呉の第一の要害は陸口なりとして、守備の大将に魯....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
廷の勅裁を仰いでもおることで、われら探題職の権限では、どうにも」 と、はなはだ
難色の態だった。 だが、道誉はあきらめず、 「では、鎌倉へ書状して、この道誉か....
「ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
味を感じた。興味は執着に変じた。蔵の持主が自分の病身の独身者を理由として、契約に
難色を見せると、私は早速と自分の身の廻りを委託するための老女を雇傭した。希望以上....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
ったが、左右太は、さあ? と、考えこんで、 「女は、口がかるいからなあ」 と、
難色をみせた。 お次は、信じられない自分を、恥じるように、ただ泣いていた。きの....