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「雨中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雨中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妖婆」より 著者:芥川竜之介
つ見えない、暗の夜で、悪く地息《じいき》が蒸れる癖に、時々ひやりと風が流れる、梅雨中にありがちな天気でした。新蔵は勿論中っ腹で、お敏の本心を聞かない内は、ただじ....
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
ヤハタという木は、水中に在ってもよく燃えるので、その皮を炬火《たいまつ》として大雨中《だいうちゅう》でも振回して歩く事が出来るそうだ。先刻《さっき》通ったあの金....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
いるのは考えるに堪えない苦しみである。何ともたとえようのない情なさである。自分が雨中を奔走するのはあえて苦痛とは思わないが、牛が雨を浴みつつ泥中に立っているのを....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
目にはマニラを去る六十キロのバコロ附近まで進出したのじゃったが、そこで勝手の悪い雨中戦をやり、おまけに山一つ向うのオロンガボオ軍港からの四十|糎の列車砲の集中砲....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
月明に乗じて湖上に赴きし牧師夫妻は、ついにその夜は帰らず、夜半四、五名の村民が、雨中月没後の湖上遙か栄光に輝ける牧師の死体を発見せるも、畏怖して薄明を待てり。牧....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
うなものすごい音であった。――スミス操縦長は、ついにケレンコの命令どおりに、暴風雨中に三百五十キロの高スピードを出したのだった。 「ああ、これでいい。こりゃ、愉....
」より 著者:海野十三
の櫓のことですか」と、二人の顔を見て北鳴はニヤリと笑った。二階の欄干をとおして、雨中に櫓を組む人夫の姿が、彼の眼底に灼きつくように映った。 「はッはッはッ。あれ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ると、新子のさし出した傘にはいろうともせず、小降りながら、まだふりつづいている白雨中を、門の中にかけこんでしまった。 主人と二人並んで門をはいるのが、新子は何....
昔のことなど」より 著者:上村松園
そばいこそばい」と笑っていられるようなことも眼に残っています。 ある時、先生は雨中の絵を描いていられました。水刷毛を刷いただけでは上っ面ばかりで充分に水気が絹....
面会」より 著者:織田作之助
鳥肌立っていた。だんだんに夜が明けて来ると、雨の白さが痛々しく見えて、私はS達の雨中の行軍を想いやった。 朝、風に吹き飛ばされそうになりながら、雨襖を突き進ん....
二階から」より 著者:岡本綺堂
い歩いて、日中にも平気で出て来た。雨が降ると涼しい声を出して鳴いた。 今年の梅雨中には雨が少かったので、私の甥は硝子の長い管で水出しを作った。それを楓の高い枝....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
作る準備に取かかった。 夜はいよいよ更けて、雨は益々烈しくなって来た。此のまま雨中に立ち尽しては、或は凍えて死ぬかも知れぬので、遺憾ながら安行の捜索は一旦中止....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
で日光に照されて美しく光って居りました雪山の光景はいつの間にか消え去りましたが、雨中の雪峰はまた一段の眺めでございます。道のあちらこちらにはパル(匂いある黄色の....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
ける いわゆる万葉模倣歌でもないし、万葉語|弄玩歌でもない。八月十五夜の歌や、雨中に菊を見た歌や、夜ふけ月をみた歌を、今一度よみ直して見られるならば、すぐ判る....
果物の幻想」より 著者:小川未明
を例としたことです。 先年、初夏の頃、水郷を旅行して、船で潮来から香取に着き、雨中、佐原まで来る途中、早くも掛茶屋の店頭に、まくわ瓜の並べてあるのをみて、これ....