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「雨外套〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雨外套の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
いのよ。上はハイカラでも下は蛮殻《ばんから》なんだから」と千代子が笑った。高木は雨外套《レインコート》の下に、直《じか》に半袖《はんそで》の薄い襯衣《シャツ》を....
縮図」より 著者:徳田秋声
の姿が、ふと目につき、均平は思わず立ち停まった。加世子は水色のスウツを着て、赤い雨外套を和服の女中の腕に預け、手提だけ腕にかけていたが、この方はしばらく見ないう....
道標」より 著者:宮本百合子
るひけどきの通行人のなかで、その人ひとりがすきとおるコバルト色のきれいな絹防水の雨外套を着ていたからだった。それは、日本で若い女たちが着ているものだったが、モス....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
行らなかった黒|皮革の飾紐を巻いたのを提げて、左手には水のようなゴム引き羽二重の雨外套とキッドの白手袋と、小さな新聞紙包を抱えながら、しなやかな不動の姿勢ともい....
旅愁」より 著者:横光利一
。もっと中へ這入りましょうよ。」 雨気で曇った窓ガラスの傍の卓に向い、千鶴子は雨外套の水を切って手袋をぬいだ。 「でも、云っちゃいけないかもしれないわ。」 ....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
の力を入れるほど、膝がガクガクするので、支えるさえ大抵ではなかった、ゴム引の黒い雨外套と、頭巾とですっかり身を包んで眼ばかり出していたが、どうかすると、青草の間....
B教授の死」より 著者:寺田寅彦
あるひどい雨の日の昼ごろにたずねて来たときは薄絹にゴムを塗った蝉の羽根のような雨外套を着ていたが、蒸し暑いと見えて広くはげ上がった額から玉のような汗の流れるの....
「鎌と鎚」工場の文学研究会」より 著者:宮本百合子
け時だからたまらない。群衆をかきわけて飛び出した書類入鞄を抱え瘠せた赤髭の男が、雨外套の裾をひるがえして電車の踏段に片足かけ、必死になって ――入り給え! 入....
白銀の失踪」より 著者:ドイルアーサー・コナン
、細君はどうぞ家にいてくれと願ったが、泣かんばかりに願ったが肯入れないで、大きな雨外套に身を包んでそのまま出ていってしまった。 細君が翌朝眼を覚ましたのは七時....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
ころはげ落ち、どこもかしこも傷《いた》み、ひどいほこりだった。 保羅は、濡れた雨外套を着たままズンズン二階のほうへあがってゆく。キャラコさんは、濡れた靴を気に....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
を肩に掛けているだけだが、馬のほうは、古いながら護謨引《ごむび》きのピカピカ光る雨外套を着ている。並んで立っていると、馬のほうが老人よりも、たしかに二倍ぐらい立....
青蛙神」より 著者:岡本綺堂
。 高田 ふむう。(考えている。) (二人は暫く無言。下のかたより李中二、洋服に雨外套を着て、洋傘をさして出で、入口の扉を叩く。高田はみかえりて立とうとするを、....
寺じまの記」より 著者:永井荷風
もう動いている。 活動見物の帰りかとも思われる娘が二人に角帽の学生が一人。白い雨外套《あまがいとう》を着た職工風の男が一人、絣《かす》りの着流しに八字髭《はち....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
かい雪の降る土地では、水気の浸みやすい木綿を着るのはなお不便だから、いわば我々の雨外套のかわりに、麻布を着て雪を払っているのであった。 けれども近頃は次第にそ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
い鼠の潮じみ雨じみた角錐形の天幕が一つ、その中に、これも鼠の頭巾附きの汚れ破れた雨外套をかぶって、誰やらごろ寝していた。 テントの中のカンテラの灯、血のような....