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「雨樋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雨樋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
28 劇場の裏の上部。火のともった窓が一つ見える。まっ直《すぐ》に雨樋《あまどい》をおろした壁にはいろいろのポスタアの剥《は》がれた痕《あと》。 ....
或る女」より 著者:有島武郎
らくの時が過ぎた。 十一時近いこのへんの町並みはいちばん静かだった。葉子はふと雨樋《あまどい》を伝う雨だれの音を聞いた。日本に帰ってから始めて空はしぐれていた....
ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
ーク燈の光を浴びた。 四 ビショビショ雨降りだ。 モスクワの雨樋はちょっとよそのとかわってる。一番下の、雨水を吐くところがまるで大ラッパの口....
一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
かがその上に座っておれと云ってその古ネマキを貸してくれたのであった。 トタンの雨樋を流れる雨の音のあい間に、 「ねえ、旦那やって下さいよ、お願いします」 と、....
今朝の雪」より 著者:宮本百合子
ちぢんだりしている。 峯子の近くのところで、いきなりターンララララと歌うように雨樋が通りはじめた。峯子の胸は、この生活の活気を告げ知らすような雨樋の歌に誘われ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
たって醤油なんか思いもよらない。焼くのに、炭の粉もないんです。政治狂が便所わきの雨樋の朽ちた奴を……一雨ぐらいじゃ直ぐ乾く……握り壊して来る間に、お雪さんは、茸....
Sketches for details Shima」より 著者:宮本百合子
キリョウよしの女房 ○家の並んで岬のように出ている四つの棟棟と棟との間に横タテに雨樋が通っている。 ○家の中にいてきく雨樋の音、 ○瓦のメジがころがりこ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、下駄屋の親爺が破って言うことには、 「外へ出てごらんなさい、大変な物だ、そこの雨樋筒《あまひづつ》に生首が一ツ……」 「エ!」 「嘘だ、嘘だ」 「冗談《じょう....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
らの家は、今はすっかりこちらの所有になったわけで、二階などすっかり畳がえが出来、雨樋も壁もさっぱり白く手入れされ、家の中は、一つの清潔で静かな活気に充ちています....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ストラスなものや暗愚なものがまだまだ蠢《うごめ》いていて、丁度ノートルダムの塔の雨樋飾《ガーゴイル》の怪物のようなものが棲んでさえいるようです。 明日からは事....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
せてひょろ高い浜草が、漆喰の割目から生え伸びているほどで、屋根は傾き塗料は剥げ、雨樋は壊れ落ちて、蛇腹や破風は、海燕の巣で一面に覆われていた。 そうした時の破....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
戸《なかど》を通って奥座敷へ導かれてゆく。 檐《のき》には尾垂《おだれ》と竹の雨樋が取付けてあり、広い庭に巴旦杏《はたんきょう》やジャボン、仏手柑《ぶしゅかん....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
」の一部とたやすくそう自分にいえるものはないだろう。黒い大きな屋根、おなじく黒い雨樋、その雨樋の落ちて来るのをうけた天水桶。――それに対して「成田山」だの「不動....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
て南北に縦走する立山山脈と後立山山脈――の大棟を辷り落ちる無量の雫を集めた絶大な雨樋は、黒部川の峡谷となって脚下に展開している。山の彫刻に曠世の技倆を揮った大自....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
此処からシデや令法(方言、牛の糞)や槭などの茂った山の横を搦みながら少し行くと、雨樋を竪てたような潜り戸の狭間が待ち構えていた。夫はがっくり落ち込んだ谷の側壁へ....