雨音[語句情報] »
雨音
「雨音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雨音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
雪でも頂いていやしないか知らん。 翁はすごすごと小石をまた懐へ入れた。苫に当る
雨音を聞きながら一夜を寝苦しく船中に明した。 房総半島に上り、翁は再び望多《う....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
時間ほども他愛もない話などをしていた。時々に雨戸をなでる庭の八つ手の大きい葉に、
雨音がぴしゃぴしゃときこえるのも、外の暗さを想わせるような夜であった。柱にかけて....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
別室の化粧室の趣味も感じがよかった。 雨が強く降り出して来た。庸三は寂しい庭の
雨音を耳にしながら、風呂場にしばらくいたが、葉子が来ないのに少し不安を感じはじめ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
益々暗くなり、夕暮れに次いで、夜が来た。 茫然として、姫はすわって居る。人声も、
雨音も、荒れ模様に加って来た風の響きも、もう、姫は聞かなかった。 南家の郎女の神....
「球突場の一隅」より 著者:豊島与志雄
一 夕方降り出した雨はその晩遅くまで続いた。しとしととした淋しい雨だった。丁度十時頃その軽い
雨音が止んだ時、会社員らしい四人達れの客は慌《あわただ》しそうに帰っていった。そ....
「月明」より 著者:豊島与志雄
、真暗な夜が忍び込んできた。風はいつのまにか止んで、しとしととした霖雨を思わせる
雨音だった。それがなお戸外の夜の暗さを偲ばせた。此処に来て初めて、鼻をつままれて....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
、軒や樹木に、どっと魔物のように落ちかかった。二人は縁側の障子を閉めて、ぼんやり
雨音に耳を傾けた。心は他に在った。 「それから、」と村田はやがて語り続けた、「吉....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
日の午前、松本がふいにやってきた。 その時私は二階の書斎で、火鉢にかじりついて
雨音をぼんやり聞いていた。前々日来一歩も外に出ないで、会社のことなどは勿論頭の外....
「白い朝」より 著者:豊島与志雄
雨はますますはげしくなります。時々稲光りがぱっときます。何もかも押し潰すような
雨音と、何もかも貫き通すような閃光とは、人の心を躍らせます。正夫と駒井さんとは、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
にのしかかっていた。時計の時間の単調な音や、三十分と十五分との粗雑な音が、屋根の
雨音に点綴《てんてい》されてる陰鬱《いんうつ》な沈黙の中に、相次いで落ちていた。....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
のづら》を掠《かす》むる 風……。 薔薇《ばら》の香《か》こめしやさしき
雨音。 詩人らの槌《つち》の音が聞こえてきた。それは花瓶《かびん》の側面に種....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
ながらも、途切れがちな話の合間には、自然と、外の気配に耳をかすらしい様子だった。
雨音だけがしていた。 千代乃はつと立ち上って、手洗いに行き、それから、裏口、表....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
い。」 「僕の方は少し飲みすぎてるんだ。」 暴風雨はだいぶおさまりかけていた。
雨音は弱まり、風の息吹きが長くなった。話が途切れると、盤上の鉄丸のころがりだけが....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
いられなかった。 八時過ぎると、二階へ上って、床の上に身を横たえて竪樋を落ちる
雨音を、さみしく聞いていると、美和子が明るい顔で帰って来た。 何も見まい何も聞....
「澪標」より 著者:外村繁
のきびさし》を叩き、木木の葉を鳴らして、かまびすしい。濁音や、半濁音のさまざまな
雨音の中に、突然、梅の実の落ちる音がする。意外に大きい音である。 夏季、七月に....