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雪を欺く
「雪を欺く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雪を欺くの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
とこぼれる。下ろすのも厄介だが、また担ぎ上げるのが骨だ。路の二丁も担いで来ると、
雪を欺く霜の朝でも、汗が満身に流れる。鼻息は暴風の如く、心臓は早鐘をたゝく様に、....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
包み出でぬ。包みを解けば出でたり、ネルの単衣、柔らかき絹物の袷、白縮緬の兵児帯、
雪を欺く足袋、袖広き襦袢は脱ぎ着たやすかるべく、真綿の肩ぶとんは長き病床に床ずれ....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
に宗吉の胸に響いた……畳の波に人魚の半身。 「どんな母さんでしょう、このお方。」
雪を欺く腕を空に、甘谷の剃刀の手を支え、突いて離して、胸へ、抱くようにして熟と視....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
に、情ありげな背負揚が解け、襟が開け緋が乱れて、石鹸の香を聞いてさえ、身に沁みた
雪を欺く肩を、胸を、腕を……青大将の黒い歯が、黒い唾が、黒い舌が。―― 糸七は....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
であります。亜硫酸は物を晒す力のある薬品でありまして、赤砂糖でもこれで晒しますと
雪を欺くような白砂糖になりますので、世間ではこの能力を悪用して、粗悪品を優良品に....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
後が三等室で、中央が一二等室、見ると後の三等室から、髪をマガレットに束ねた夕闇に
雪を欺くような乙女の半身が現われた。今玉のような腕をさし伸べて戸の鍵をはずそうと....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
とかと恐しそうに並んで、素の足を投げ出している。文字若の足からは湯文字が溢れて、
雪を欺くような肌《はだ》、象牙細工のような指、ほんのり紅をさした爪の色――恥らい....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
しい、姉さん被りの手拭を取って、額よりは頸脚を軽く拭いた。やや俯向けになった頸は
雪を欺く。……手拭を口に銜えた時、それとはなしに、面を人に打蔽う風情が見えつつ、....
「山吹」より 著者:泉鏡花
かし冷静に聞くのみ。) 夫人 先生。(番傘を横に、うなだれて、さしうつむく。頸脚
雪を欺く)宿の男衆が申したのは、余所の女房という意味ではないのです。(やや興奮し....