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「雪深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雪深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
手品」より 著者:佐左木俊郎
口上雪深い東北の山|襞《ひだ》の中の村落にも、正月は福寿草のように、何かしら明るい影....
単独行」より 著者:加藤文太郎
を御馳走になってほっとしたのは午後六時だった。すぐスキーをまとめてここを出発し、雪深い道に悩みながら、それでも元気で下って行った。ちょうどこの日は月蝕の晩だった....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
が腐らずにはいますまい。(間)お師匠様の忍耐強いのには感心いたします。私は越路の雪深い山道をお供をして長らく行脚いたしましたが、それはそれはさまざまの難儀に出会....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
らわして親分のしこたまためた金銀財宝諸道具食料ことごとく持ち去り、母子はたちまち雪深い山中で暮しに窮した。 「何でもないさ。」と勝気のお夏は威勢よく言って母と姉....
マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」より 著者:宮本百合子
とである。ゴーリキイは市場で四つ弾丸のつまったピストルを買い、凍ったヴォルガ河の雪深い夜の崖にのぼって胸を撃った。弾丸ははずれた。彼はこの事件がすむと同時に、こ....
曠野」より 著者:堀辰雄
眺められた。 守《かみ》は、すこし微醺《びくん》を帯びたまま、郡司《ぐんじ》が雪深い越《こし》に下っている息子の自慢話などをしているのをききながら、折敷《おし....
つぼみ」より 著者:宮本百合子
うに美くしいところに今年十六の一人娘とおだやかに不自由なく暮している人だ。生れは雪深い越後、雪国に美人が多いと云うためしにもれず若い時は何小町と云われたほどその....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
れたりはまさかしませんよとのことでした。手帖のなさ、書く紙のなさ、インクのなさ、雪深いところでの生活を思い起します。 昨日二人かえって来て、やはり二人で又開成....
飛騨の顔」より 著者:坂口安吾
。 「至るところに仏像がいらア」 このポチャ/\した顔はヒダの顔というよりも、雪深い北国の農村の代表的な顔のようだ。もとはヒダであったかも知れない。今では日本....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
思いつつ推切って行くのであります。 私はここから四十里余り隔たった、おなじ雪深い国に生れたので、こうした夜道を、十町や十五町|歩行くのは何でもないと思った....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
を押しあけて外へ出た刹那の感じを巧みにとらえている。(ヘ)は東京の丸善から北越の雪深い町へ或日とどいた荷物が、土間に雪をはらい落して配達されたと云う瞬間の光景を....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
「そうらしいけれどね。」 母は、娘を、非凡な才智をもつものと見ている。それは、雪深い国では、何処《どこ》にもちょっと見当らない、薫《かお》りの高い一輪の名花だ....
松井須磨子」より 著者:長谷川時雨
後見人になり、縁類の某海軍中将がその管理人になった。そして彼女の一七日がすむと、雪深い故郷の信州へと帰っていった。残された建物――旧芸術倶楽部――故人二人《なき....
生不動」より 著者:橘外男
音と一緒に鈍い汽笛の響きが、雪を孕んで寂然とした夜の厚い空気を顫わせて、いかにも雪深い田舎の停車場らしい趣を伝えてきた。 そんな空気の中で私と君太郎とは、さっ....
三人の訪問者」より 著者:島崎藤村
迎えた。私の眼に映る「冬」は唯灰色のものだった。巴里の方で逢った「冬」はそれほど雪深いものではなかったが、でも灰色な色調に於いては信濃の山の上に劣らなかった。私....