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雪間
「雪間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雪間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
独な人達が、そろそろ雪が消えて、斑《まば》らに地肌《ぢはだ》が見えかけて来た時、
雪間《ゆきま》がくれに福寿草の咲いているのを見たら、どんなによろこぶことでしょう....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
は至るところにある。利休は好んで次の古歌を引用した。 花をのみ待つらん人に山里の
雪間の草の春を見せばや(三六) 茶の宗匠たちの芸術に対する貢献は実に多方面にわ....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
がよく顔を出している。「車花」ともいう。あの車の形した草が生えているような土手の
雪間には、必と「青はこべ」も蔓いのたくっている。「青はこべ」は百姓が鶏の雛にくれ....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
、鳥の助かる方が余計にしてもらいたい。――実は小松からここに流れる桟川で以前――
雪間の白鷺を、船で射た友だちがあって、……いままですらりと立って遊んでいたのが、....
「連環記」より 著者:幸田露伴
し、そこで挙周を其望み通り和泉守にしてやった。「払ひけるしるしも有りて見ゆるかな
雪間をわけて出づる泉の」と、道長か倫子か知らぬがお歌を賜わった。それに返して、「....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
くように、水に襟を開いた。玉なめらかに、きめ細かに、白妙なる、乳首の深秘は、幽に
雪間の菫を装い、牡丹冷やかにくずれたのは、その腹帯の結びめを、伏目に一目、きりき....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
」 「まあさ。」 「乳の少し傍のところ。」 「きれいだな、眉毛を一つ剃った痕か、
雪間の若菜……とでも言っていないと――父がなくなって帰ったけれど、私が一度無理に....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て、ややあって一座の巌石、形|蟇の天窓に似たのが前途を塞いで、白い花は、あたかも
雪間の飛々に次第に消えて、このあたりでは路とともに尽きて見えなくなる処に来た。 ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
深山《みやま》のみちは晴れずともなほふみ通へ跡たえずして 乳母も泣きながら、
雪間なき吉野《よしの》の山をたづねても心の通ふ跡絶えめやは と慰めるのであっ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
(晶子) 新春第一日の空の完全にうららかな光のもとには、どんな家の庭にも
雪間の草が緑のけはいを示すし、春らしい霞の中では、芽を含んだ木の枝が生気を見せて....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
れの性質を描き分けている。 水嵩に車はげしや藤の花 多代女 うきことに馴れて
雪間の嫁菜かな すて女 多代女は、水嵩に水車が激しくめぐっている山川らしい....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
のね。家隆卿の歌にこんなのがあるのだよ。いいかね。――花をのみ待つらむ人に山里の
雪間の草の春を見せばや。これなら分るだろう。
雪間の草の春と一纏めにいって、それを....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、むしゃむしゃと噛んだと思うと――どたりとそのすんなりした背に崩込んで、空色地に
雪間の花を染模様の帯のお太鼓と、梅が香も床しい細りした襟脚の中へ、やたらに顔を押....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
遮るものもなし。少し下り、凌雲岳を右にして行くに、お花畑連続す。千島竜胆は紫也。
雪間草は白也。小桜草は紅也。兎菊は黄也。梅鉢草、岩桔梗、四葉塩釜など一面に生いて....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
た小砂利や腐った枯葉の上を歩くのでよく滑るが、こっちの方が危なくない。むら消えの
雪間に咲きこぼれた白山小桜の花が、若草の野に立って歌を謡っている少女の頬のように....