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雲煙
「雲煙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雲煙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
襲って来た。
三十一
対岸の山はすでに見えなくなった。湖も立ち罩《こ》めた
雲煙《うんえん》の中に、ややともすると紛《まぎ》れそうであった。ただ、稲妻の閃《....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
上ったのです。私は胸を躍《おど》らせながら、じっと壁上の画を眺めました。
この
雲煙邱壑《うんえんきゅうがく》は、紛《まぎ》れもない黄一峯《こういっぽう》です、....
「八十八夜」より 著者:太宰治
ドレア・デル・サルトとは、再び相見ることは無い。もう地平線のかなたに去っている。
雲煙|模糊《もこ》である。
「アンリ・ベックの、……」背後の青年が、また言った。....
「佐渡」より 著者:太宰治
。私は、何も知らない。したたかに自信を失い、観察を中止して船室に引き上げた。あの
雲煙|模糊《もこ》の大陸が佐渡だとすると、到着までには、まだ相当の間がある。早く....
「酒の追憶」より 著者:太宰治
て行くわいな その蚊《か》の鳴くが如き、あわれにかぼそいわが歌声だけが、はるか
雲煙のかなたから聞えて来るような気持で、 わたしゃ 売られて行くわいな ま....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
しか発表してない。西側からのは、実をいうと写真にもとってないのだ。それを、万里の
雲煙をへだてたヨーロッパにいて知るとは、なんという化物のような男だろうか。
ダ....
「たずねびと」より 著者:太宰治
かえて生れ故郷の金木という町にたどり着くという段取りであったのですが、思えば前途
雲煙のかなたにあり、うまくいっても三昼夜はたっぷりかかる旅程なのです。トマトと桃....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
景を描き、而して百里の先きを同じ大きさにおいて一幅の中に収めてしまい、その間には
雲煙、あるいは霞を棚引かせて、その中間の幾十里の直接不必要な風景を抹殺してしまう....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
図は箕面の滝の夏景である。青い楓葉につつまれたる白布の滝が静かに落ち、その周囲は
雲煙を以てぼかされた。その座敷へ夏の太陽がさし込み、反射が暗い床の間を照して、そ....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
オペラグラスの賃貸料がもうかる始末で、後始末の方は全然手間賃もいらないのである。
雲煙の彼方に三原山が見える。星うつり年かわって自殺者の新メッカとなった熱海は、コ....
「不周山」より 著者:井上紅梅
驚したが、全身の毛孔中から何か飛び出したような気がした。地上にはたちまち乳白色の
雲煙が立ち罩め、彼女はようやく気を鎮めたが、その小さいものも、もう啼き已めていた....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
などを隔てて、遥かに上野|谷中の森が見渡され、右手には茫々とした人家の海のあなた
雲煙の果に、品川の海も見えるのでした。その眺望に引きつけられて、幾度も来て見るご....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
なくて山田美妙であったのだ。私は昔から人の反駁なぞは余り気に掛けない方で、大抵は
雲煙過眼してしまうし、鴎外の気質はおおよそ呑込んでるから、威丈高に何をいおうと格....
「西航日録」より 著者:井上円了
獅子のごとき形と勢いとをもって奮進し、ヒマラヤ連峰はもちろんタイガーヒルまでも、
雲煙の中にうずめらるるに至れり。少時を過ぎてまたはれ、また陰り、出没変幻窮まりな....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
何もなく、東の空のしらじらとするところこそすめらみくになのである。) ときどき
雲煙前路を遮るために、汽笛を鳴らして過ぐ。潮流、暖を送り来たる。午時、一声の雷あ....