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零す
「零す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
零すの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖術」より 著者:泉鏡花
な廂を……欄干に添って、廻廊を左へ、角の擬宝珠で留まって、何やら吻と一息ついて、
零するまでもないが、しっとりとする帽子を脱いで、額を手布で、ぐい、と拭った。 「....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
の強情我慢の荒くれ男でも、朱入りの刺青を仕上げるまでには、鬼の眼から涙を幾たびか
零すと云います。しかも大抵の人は中途で屹と多少の熱が出て、飯も食えないような半病....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
時は非常に持て囃されましたが、何分にも紙を貼ったものであるから傷み易い。水などを
零すと、すぐにぶくぶくと膨れる。そんな欠点があるので、これもやがて廃れました。そ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
じゃ何にもなりゃしないわね。」と、叔母は散らかったそこらを取り片着けているお庄に
零すともなく溜息をついた。 お庄は前に茶屋の店頭でちょっと口を利いたことのある....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
を新三郎の膝にホロリと零しました。これが本当の嬉し涙です。他人の所へ悔みに行って
零す空涙とは違います。新三郎ももう是までだ、知れても構わんと心得、蚊帳の中で互に....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
る。「キャッ」というとその土人は酒樽のようにぶっ仆れたが、切り口からドクドク血を
零す。とたんに飛び出たのはホーキン氏で四番目の土人の腹を突いた。 「えい、ついで....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
した。 勿論彼女には見覚えはない。初めて会った老人である。 「どうして涙なんか
零すんだろう? 妾をどう思っているのだろう? 気味の悪い爺さんだよ」 こう思わ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
に高い鋭い金属性の鸚鵡の啼き声も聞こえて来る。窓外の壁板に纒っている冬薔薇の花が
零すのであろう、嗅ぐ人の心を誘って遠い思い出へ運んで行くような甘い物憂いまた優し....
「決闘」より 著者:神西清
こに誰のコップがあるのやら、どこに誰のパンがあるのやらもわからず、葡萄酒を毛氈に
零す、自分の膝に
零す、塩を撒きちらす、おまけにぐるり一面は真暗で、焚火もいつの間....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
?」 「お前には世話をかけた……」 「またそんなことを……」とお光はハラハラ涙を
零す。 「阿父さん……」 「阿父さんも皆お前の傍にいるよ。新造、寂しいか?」と新....
「私の机」より 著者:岡本綺堂
一時は非常に持囃されましたが、何分にも紙を貼ったものであるから傷み易い。水などを
零すと、すぐにぶくぶくと膨れる。そんな欠点があるので、これもやがて廃れました。そ....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
…それに千歳さんだって僕を嫌いではない筈だ」 千歳は始めて剛腹な慶四郎が、涙を
零すのを見た。 千歳は頭を垂れたまま其処に立ちつくしている――それは肯定の姿と....
「或る少女の死まで」より 著者:室生犀星
ほど、ひどい睡眠不足にかかっているらしかったが、睡りながら酌いでいても、特に酒を
零すというようなこともないほど上手であった。たとえば上野などのあの繁華な人通りや....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
ら帰ってしまうことなどもありました。もうその頃は物事に感じ易く、何かというと涙を
零すようになって、すっかり人間が変ってしまいました。 株に手を出して失敗し、百....