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零れる
「零れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
零れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
練で刻り出した。プンと馨る楠の匂い、仮面材は年を経た楠の木なのである。パラパラと
零れる木の屑は彫刻台の左右に雪のように散り、また蛾のように舞うのもある。 仮面....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
ことなぞある。独り長火鉢の横に坐って、する仕事のない静かな昼間なぞは、自然に涙の
零れることもあった。いっそ宅へ帰って、旧の屋敷へ奉公した方が気楽だなぞと考えるこ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
絶えたり続いたりと云うよりは、出つ入りつ、見えつ隠れつするかに聞えて、浸出すか、
零れるか、水か、油か、濡れたものが身繕いをするらしい。 しばらく経つと、重さに....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
も纒ったように大体の景色を※たけて見せ、諸所に聳えている宮殿の窓から垂帳を通して
零れる燈火が花園の花木を朧ろに染め、苑内のありさまは文字通り全く幻しの園であった....
「地上」より 著者:島田清次郎
かなり真面目に「なりますとも」と答えていたあの頃の己に残っていた初心さは実に涙が
零れる。ところがだ、己が十五の秋、その壮健なとても死にそうでなかった主人が死んだ....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
あお光さん、一つ上げよう」 「まあ私は……それよりもお酌しましょう」 「おっと、
零れる零れる。何しろこうしてお光さんのお酌で飲むのも三年振りだからな。あれはいつ....
「日本画と線」より 著者:上村松園
、そして色彩でごまかしたような画、そんな画を見ますと私達は純真の日本画の為に涙が
零れるような心持になります。 その人達に言わせますと、色彩の塗抹は線が持ってく....
「幼年時代」より 著者:室生犀星
果実のならない木とてはなかった。青梅の頃になると卵色した円いやつが、梢一杯に撓み
零れるほど実ったり、美しい真赤なぐみの玉が塀のそとへ枝垂れ出したのや、青いけれど....