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零落
「零落〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
零落の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
なになってしまったわたしのそばにいてくれるのは。……それだのに、わたしはこんなに
零落した姿をあなたに見られるのがつらくって、来た日は途中からほかの病院に行ってし....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
た。けれども父は 「近頃、珍らしい感心な青年だ」と褒《ほ》めた。 主人は地方の
零落《れいらく》した旧家の三男で、学途には就《つ》いたものの、学費の半《なかば》....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
「そうかも知れない」 栄之丞は思わず溜め息をついた。廓で全盛を尽くした大尽の
零落は珍らしくない。次郎左衛門が佐野の身上《しんしょう》をつぶしたことは、栄之丞....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
なければならないような事がそこいらじゅうにまくしあがっていた。ある家は目に立って
零落していた。あらしに吹きちぎられた屋根板が、いつまでもそのままで雨の漏れるに任....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
近所にお化粧のアラを拾うやつもなくてさばさばしたろう」 これが唯一の、娘も共に
零落させた父の詫びの表明でもあり、心やりの言葉でもあった。小初は父の気持ちを察し....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
せん。実はこんなものが手前方に伝わっていることも存じませんでしたが、御覧の通りに
零落して、それからそれへと家財を売払いますときに、古長持の底から見つけ出したので....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
の壁にかけてあったセザンヌ筆の「カルタを取る人」の画に異常を発見したためである。
零落した伯爵の今の身にとって、この名画は、唯一の宝でもあったし、また最高の慰めで....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
で買うと、イカサマ師はそのまま一つ処にはいない、という風に、維新の際の武家高家の
零落流行に連れて、
零落者と見せかけてのイカモノ師が多かったなどは、他の時代には見....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の講義にも出席しているが、中途から乱暴を始めて、世に出る機会をうしなって、次第に
零落して、ついにふたたび頭をもたげることが出来なくなった。ただし、彼はそれについ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
みましたが、そこは全く阿修羅の巷ともいうべきものでした。わたしはあらゆる階級――
零落した旧家の子弟、劇場の女たち、狡猾な悪漢、幇間、威張り散らす乱暴者のたぐいを....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
、とうとう無産者となってしまった。それからいろいろの勤めに出たが、まただんだんに
零落して、貸家の監督から更に下女奉公にまで出るようになった。彼女の性質を別に悪い....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
て目障りの者が無い。阿Qを見ても知らん顔をしている。 阿Qは不平の真最中に時々
零落を感じた。銀メダルの話を聴くと彼はすぐに
零落の真因を悟った。革命党になるのに....
「京のその頃」より 著者:上村松園
川市十郎と一緒に新京極の乞食芝居の仲間だった人だということで、それがいつの間にか
零落して町芸人になってしまったということだった。 私なども娘時代には地唄の稽古....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
なく我を誹りたるやうにおもはれて、さまざまに言訳めきたる事を思ふなり、かくまでに
零落したる乎。」 当時の二葉亭の煩悶はこの数節に由るも明かであろう。進んで小説....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
歴史のみ ポルトガルには僧坊、尼坊今なお存すといえども、堂宇はたいてい頽敗して
零落の状を呈し、僧侶はその下等の地位にいたりては学識はなはだ乏しく、生計大いに困....