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「電柱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

電柱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
か》に変っている。塵埃《ちりぼこ》りにまみれた飾《かざ》り窓と広告の剥《は》げた電柱と、――市と云う名前はついていても、都会らしい色彩はどこにも見えない。殊に大....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
い》いが、一体どうする気なんだろう?――牧野はそう疑いながら、しばらくは橋づめの電柱の蔭に、妾《めかけ》の容子《ようす》を窺《うかが》っていた。が、お蓮は不相変....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ら、まだ十四五歳の店員が一人、自転車に乗って走って来た。それが洋一の姿を見ると、電柱に片手をかけながら、器用に彼の側へ自転車を止めた。そうしてペダルに足をかけた....
」より 著者:芥川竜之介
ょうから宿無し犬になるのか?」 白はため息を洩《も》らしたまま、しばらくはただ電柱の下にぼんやり空を眺めていました。 三 お嬢さんや坊ちゃんに逐《お》い....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
その半町ばかり離れた所が、ちょうど寂しい石河岸の前で、上の方だけ西日に染まった、電柱のほかに何もない――そこに新蔵はしょんぼりと、夏外套の袖を合せて、足元を眺め....
」より 著者:芥川竜之介
り下宿の裏の土手の上へ出ることにした。あたりはもう暮れかかっていた。が、立ち木や電柱は光の乏しいのにも関《かかわ》らず、不思議にもはっきり浮き上っていた。わたし....
或る女」より 著者:有島武郎
えて、その間《あいだ》から低く海の光る、平凡な五十三|次風《つぎふう》な景色が、電柱で句読《くとう》を打ちながら、空洞《うつろ》のような葉子の目の前で閉じたり開....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
電信の針がねに一座ずらりと出て、ぽちぽちぽちと中空高く順に並ぶ。中でも音頭取が、電柱の頂辺に一羽|留って、チイと鳴く。これを合図に、一斉にチイと鳴出す。――塀と....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
、並び並んだ玩具問屋の看板にばかり気をとられて歩いているらしかった。私はスルリと電柱の蔭に隠れて、とうとうこの間抜け探偵をやりすごした。 私はすぐに円タクを雇....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
路をつきぬけて破裂した敵弾は、径十センチばかりの水道鉄管をふきあげ、それが路上に電柱の如く突っ立ち、あたりは水にて池の如し、という。また三千ボルトの高圧線切断し....
火星兵団」より 著者:海野十三
は、案外そんなことに注意していない人もあった。 その夜のこと、或るさびしい町の電柱の下に、一人の紳士が、倒れていた。彼は、真赤な顔をしてわけのわからぬひとり言....
怪塔王」より 著者:海野十三
家が一軒もないばかりか、その奥は一面の砂原つづきでありまして、家も見えなければ、電柱も立っていません。 「これはおどろいた。まるで無人島のようだ」 無人島? ....
科学者と夜店商人」より 著者:海野十三
いず電球を裸にむき出した儘の直接照明法で、これに成功しているのであった。その代り電柱の上のポール、トランスは今や過負荷のために鉄心はウンウン呻り、油はジュウジュ....
錦紗」より 著者:犬田卯
いこれがいいと迷っているうちには行き着ける。」 国道は沼岸を稍々一直線に走り、電柱が汀に面した片側を次第に小さくなって、そして森やまばらな木立に覆われた部落の....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
わゆる「御朱引外」の面かげをとどめていたのであろう。しかし今はどこを見ても、ただ電柱やバラックの押し合いへし合いしているだけである。僕は泥のはねかかったタクシー....