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霧散
「霧散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霧散の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜別」より 著者:太宰治
た言うに言われぬほのぼのした悦びが胸に込み上げて来て、独逸行きの志望も何も綺麗に
霧散してしまったほどで、本当に、あのような不思議な解放のよろこびは、これからの自....
「錯覚数題」より 著者:寺田寅彦
こらず、三原山もにぎわわず、婦人雑誌は特種を失い、学問の自由などという言葉も雲消
霧散するのではないかという気がする。しかしそうなってははなはだ困る人ができてくる....
「天馬」より 著者:金史良
たのである。――だが今や玄竜は田中に会えたことを思うともう凡ての悲しみも苦しみも
霧散し、ひとりでに嬉しくなっていよいよ多弁になっていた。殊に傍には角井もおり、今....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
白い城の上に閃きかかりました。山も谿もその光にくらんで、城さえ瞬時は光の矢の中に
霧散したと思われました。 城はしかし光に散ってはいませんでした。天にある力と地....
「雑記帳より(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
か、何しろ暗いのでよくは分からない。とにかくこうなるとせっかくの最初の空想も雲消
霧散して残るものは世智辛い苦々しい現実である。それにしてもこの「商売」が一体どの....
「芸術と数学及び科学」より 著者:三上義夫
あらば、よろしくこの偉人の伝記を委細に学ぶがよい。その疑問はこれがためにただちに
霧散するであろう。 ドイツの画家アルブレヒト・デューレル(〔Albrecht ....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
薄茶をたててそれをいただく。 清々しいものが体の中を吹き渡る……つかれはすぐに
霧散する。 「どれ、この爽涼の気持ちで線を引こう」 私は筆へ丹念に墨をふくます....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
雨の兆しもなし。かつ、はじめ家を去るとき、父平素にたがわず健康なれば、これを煙消
霧散に付し、意思のかけらにもかけず。 その日も前日のごとく、某官衙に出務せり。....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
意気づけるため、一度、のろしを打ち揚げておかねば、せっかくな気運も、一時だけで、
霧散してしまおう。……何といっても、みかど(後醍醐)のご遠島は、宮方の大きな沮喪....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
そのままを現代語にしたら、現代の眼は、反撥すらするであろう。そして古典のよさは、
霧散される。そのよさを味わうには、註釈を頼っても、古典そのものに就くしかないので....