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霧笛
「霧笛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霧笛の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
ルの内部のようなものだった。 冬期の北海道は霧がはなはだしかった。汽船で鳴らす
霧笛、燈台で鳴らす号砲のような霧信号。海へころがり込んだフットボールのような万寿....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
から急に、しかもハッキリと不吉な暗に溶けこんでしまった。ただ、救いを求めるような
霧笛だけが、ときどき低く重く、潮鳴の絶え間絶え間に聞えていた。 さて――なんか....
「難船小僧」より 著者:夢野久作
の中に起上った。 同時に船橋から電話が来て、すぐに半運転を全運転に切りかえる。
霧笛をやめる。探照燈を消す。機関室は生き上ったように陽気になった。一等運転手の声....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
た。話しかけられても大抵は口を利かなかった。ただ不意におそろしい顔をして見上げ、
霧笛のように鼻を鳴らすだけだった。で、私たちも家のあたりへ来る人々も間もなく彼を....
「お奈良さま」より 著者:坂口安吾
大きなオナラをたれた。よほど戸締りが開放されきったらしく、風足は延びに延びて港の
霧笛のように長く鳴った。 すると隠居は胸に合わせた手をモジャ/\とすりうごかし....
「歳時記新註」より 著者:寺田寅彦
かたまりだという説がある。とにかく霧は航海には厄介なもので、この障害を防ぐために
霧笛、霧砲などというものが色々工夫された。(明治四十一年九月三十日『東京朝日新聞....
「おさなき灯台守」より 著者:竹久夢二
かに住んでいた。 今日も今日、父なる燈台守は、櫓のうえに立って望遠鏡を手にし、
霧笛を鳴しながら海の上を見戍っていた。昼の間は灯をつけることが出来ないからこの岬....
「帯広まで」より 著者:林芙美子
と服がしっとりとするようであった。街中の灯が、潤んで見えた。三分おきに街の上では
霧笛が鳴った。風呂へ這入りながら、女達は
霧笛が鳴るたびに眼を見合せて、「遠くへ来....
「歌う白骨」より 著者:妹尾アキ夫
標のベルの音が、ものうく、悲しげにひびいた。すでに彼は一日の仕事をすましていた。
霧笛のモーターは掃除をすまし、油をさしていた。レンズは磨き、ランプの掃除もすんで....