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「青酸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

青酸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
の過去は暗いものだった。彼女は病家の主人だの病院の医者だのとの関係上、何度一塊の青酸加里を嚥《の》もうとしたことだか知れなかった。この過去はいつか彼女の心に他人....
兎と猫」より 著者:井上紅梅
ことが出来なくなるのだろう。わたしは腹を極めた。そこで我れ知らず本箱の中の一瓶の青酸カリウムを眺めた。 (一九二二年十月)....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ものを食べて死ぬんだ」といったり「敵兵を一人やっつけてから死にたい」という晴彦。青酸加里の話まで子供がいう。私はすこし気持ちがかるくなったり、胸がまた急にいたみ....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
瞭に出て来ない。それかと言って自然死であるとも言うことが出来ない。たとえば微量の青酸中毒による死の如き、これである。今日の科学はこの程度の鑑別をするだけに進行し....
仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
一と息に飲み下だし、盃がまだ卓子の上に、帰らぬ前に既に呼吸が止っているという彼の青酸|加里も、実に管々しい毒物には相違なかったけれども、それを実行した先輩も少く....
密林荘事件」より 著者:海野十三
密林荘で、熊井青年が自殺したという事件が、例の有名な旗田警部のところへ廻されて来た。 この事件は、その熊井青年が青酸加里を飲んで死んだという点では明瞭であるが、その青酸加里を用意したのが当人で....
食魔」より 著者:岡本かの子
の穴が食慾で拡がった。 アンディーヴの截片はお絹の口の中で慎重に噛み砕かれた。青酸い滋味が漿液となり嚥下される刹那に、あなやと心をうつろにするうまさがお絹の胸....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
検事が法水に云うのを、熊城が受けて、 「ウン、血の色や屍斑を見れば判るぜ。明白な青酸中毒なんだ。だが法水君、この奇妙な文身のような創紋はどうして作られたのだろう....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
性質のものですから、この犯行には相当の確実性があります。使った有毒気体は、屍体に青酸死の徴候がない所を見ると、多分砒化水素だったのでしょう」 「だが、瓦斯は散逸....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
、内部から唸きの声が洩れてきた。 この事件の悪鬼は、死所を奈落に択んで、多量の青酸を嚥下したのだった。 しかし、村次郎はじめ一座の者は、しばらく放心したよう....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
ていて、十番館の定連だった。 十番館には、戦争犯罪容疑者として収容される前夜、青酸加里で自殺した遠衛公爵の三男坊が憂さばらしか、それとも元来享楽的なのか、時ど....
ある自殺者の手記」より 著者:小酒井不木
亜砒酸は無味であるけれども、劇烈な胃腸症状の起こるのは何としても不愉快である。又青酸は瞬間的に死を起こすといわれておるが延髄の呼吸中枢を冒して窒息を起こさせるの....
呪われの家」より 著者:小酒井不木
苦しいとはあの事だろうと思います。鬼頭さんは私の自白をきいて居られたと見えて忽ち青酸を以て自殺されました。その青酸はかねて義歯の中へ入れてあったものです。 私....
ヤミ論語」より 著者:坂口安吾
るものだろう、とアベコベな風に考えていたのである。 私は帝銀事件の犯人が怖い。青酸カリをのんでバタバタ倒れる人々を冷然と見ている姿を考えると、いさゝかゾッとす....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
宗教でなくてはなるまい。この真性宗教の効果は、単に阿片的なものに止まらず、殆んど青酸加里的性質を持っているので、単に魂を羽化登仙させるだけではなく、生命そのもの....