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静々
「静々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
静々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
来たら他所《よそ》の部屋《へや》で寝るように用意をしておいてもらいたいと頼んで、
静々《しずしず》と二階へ上がって行った。
襖《ふすま》をあけて見ると二人の姉妹....
「活人形」より 著者:泉鏡花
る顔の洩れ出でぬ。瑠璃のごとき眼も動くようなりしが、怪しいかな影法師のごとき美人
静々と室の中に歩み出でたり。この幻影譬えば月夜に水を這う煙に似て、手にも取られぬ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を浴びた色香は、百合よりも芳しく、杜若よりも紫である。 年上の五年級が、最後に
静々と出払って、もうこれで忘れた花の一枝もない。四五人がちらほらと、式台へ出かか....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
べ了《お》われば、たちまち起こる緩絃《かんげん》朗笛の節《せつ》を履《ふ》みて、
静々歩み出でたるは、当座の太夫元滝の白糸、高島田に奴元結《やっこもとゆ》い掛けて....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ざわざわ、物音、人声。 目を擦り、目を※り、目を拭いいる客僧に立別れて、やがて
静々――狗の顔した腰元が、ばたばたと前へ立ち、炎燃ゆ、と緋のちらめく袖口で音なく....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
を持って、滑かに開いていたのが、今蟻を取って上へ落すと、あたかも意識したように、
静々と針を集めて、見る見る内に蟻を擒にしたのである。 滝太郎は、見て、その験あ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の軒下の土間に下りた、蔵人は踏留まるがごとくにして、勇ましく衝と立ったが、秋風は
静々と町の一方から家毎の廂を渡って来て、ちょうどこの小さな散際の柳を的に、柳屋へ....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ち虚蒼に拡がって、ざっという音|烈しく、丸雪は小雪を誘って、八方十面降り乱れて、
静々と落ちて来た。 紅梅の咲く頃なれば、かくまでの雪の状も、旭とともに霜より果....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
と早や旭の影が、霧を破って色を映す。 さて住吉の朝ぼらけ、白妙の松の樹の間を、
静々と詣で進む、路の裳を、皐月御殿、市の式殿にはじめて解いて、市の姫は十二人。袴....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
は知らずおどおどしながら、 「こちらへ。」 と謂うに任せ、渠は少しも躊躇わで、
静々と歩を廊下に運びて、やがて寝室に伴われぬ。 床にはハヤ良人ありて、新婦の来....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
気のせいか、チョッと舌打をしたように思ったが、それは僻耳であったろう、やっと
静々と、羽衣を着澄して、立直ったのを視て、昨夜紅屋の霜に跪いて、羽織を着せられた....
「不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
、痩躯鶴のような典獄さんと、それから大きな山芋に金襴の衣を被せたような教誨師とが
静々と入って来た。 「ああ、話の途中でしょうが……」と看守長が声をかけた。「もう....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
と、鍬形打った甲の緒を締め、最上胴の鎧著けた武者一騎、大長毛の馬を流に乗入れて、
静々と引退くのを見た。落付き払った武者振只者に非ずと、利家|諸鐙を合せて追掛ける....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
られないものであった。 見よ、正面の石造りの、洋館の扉が徐々に開いて、そこから
静々とあらわれた、燐光を纒った動物を! 動物の全身は白金が朝の太陽に照らされたよ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
がら一人の男が現れ出た。頭巾を戴き十徳を着た、放心したような男であった。その男は
静々と――獲物を狙う悪獣のように、光明優婆塞へ近寄った。 伏し転んでいる白衣の....