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靡
「靡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
靡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
机には造花の蓮《はす》の花の仄《ほの》めいたり、蝋燭《ろうそく》の炎《ほのお》の
靡《なび》いたりする中に勲章の箱なども飾ってある。校長は棺に一礼した後《のち》、....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
缶、灰皿、出席簿、万年糊《まんねんのり》などの整然と並んだ机の前に、パイプの煙を
靡《なび》かせたまま、悠々とモリス・ルブランの探偵小説を読み耽《ふけ》っている。....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
ら、織田殿《おだどの》の身内に鬼《おに》と聞えた柴田《しばた》の軍勢を斬《き》り
靡《なび》けました。それを何ぞや天主《てんしゅ》ともあろうに、たとい磔木《はりき....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の中に、危く懸っている所へ出た。
桟橋を隔てた絶壁には、火食《かしょく》の煙が
靡《なび》いている、大きな洞穴《ほらあな》が幾つか見えた。彼はためらわずに桟橋を....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
い白ズボンに白靴《しろぐつ》をはいた彼の脚は窓からはいる風のために二つとも斜めに
靡《なび》いている! 彼はこう言う光景を見た時、ほとんど彼の目を信じなかった。が....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
えると、急に彼自身のマッチを擦《す》り、その火を保吉の前へ出した。保吉は赤あかと
靡《なび》いた焔《ほのお》を煙草の先に移しながら、思わず口もとに動いた微笑《びし....
「或る女」より 著者:有島武郎
締《し》める代わりに尾錠《びじょう》で締めるくふうをして、一時女学生界の流行を風
靡《ふうび》したのも彼女である。その紅《あか》い口びるを吸わして首席を占めたんだ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
吹きおろしたと思うと、積雪は自分の方から舞い上るように舞上った。それが横なぐりに
靡《なび》いて矢よりも早く空を飛んだ。佐藤の小屋やそのまわりの木立は見えたり隠れ....
「星座」より 著者:有島武郎
番刈りのとはちがって、茎が細々と痩せて、おりからのささやかな風にも揉まれるように
靡《なび》いていた。そして空はまた雨にならんばかりに曇っていた。何んとなく荒涼と....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、廂に海原の緑をかけて、簾に沖の船を縫わせた拵え。刎釣瓶の竹も動かず、蚊遣の煙の
靡くもなき、夏の盛の午後四時ごろ。浜辺は煮えて賑かに、町は寂しい樹蔭の細道、たら....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ました……。その時たちまち、右手に高く、御秘蔵の御神剣を打り翳し、漆の黒髪を風に
靡かせながら、部下の軍兵どもよりも十|歩も先んじて、草原の内部から打って出でられ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
壁に身を凭せて、ぼんやり空ばかり眺めていました。空には、もう細い月が、うらうらと
靡いた霞の中に、まるで爪の痕かと思う程、かすかに白く浮んでいるのです。 「日は暮....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ついたて。これからあの下枝を殺してさ。「下枝|様を。「三年|以来辛抱して、気永に
靡くのを待っていたが、ああ強情では仕様が無え。今では憎さが百倍だ。虐殺にして腹癒....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
そのころは第一次大戦は終り、ロシア革命などの影響もあってデモクラシーが思想界を風
靡した時代で、大正七年暮には東大に“新人会”が生まれた。早稲田でも東大に負けてな....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
である。西洋文明は物質中心の文明で、この点に於て最近数世紀の間西洋文明が世界を風
靡しつつあるは現実であるが、私どもは人類の綜合的文明はこれから大成せらるべくその....