面向[語句情報] » 面向

「面向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

面向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
手さぐりで夢中に母にすがりつこうとしていたらしかった。眼をさましてみると、母は背面向《むこうむ》きになってはいるが、自分のすぐ側に、安らかな鼾《いびき》を小さく....
」より 著者:太宰治
んでいる。その子供たちの中に、私の子もいる。私の子は遊びをやめて、私のほうに真正面向いて、私の顔を仰ぎ見る。私も、子の顔を見下す。共に無言である。たまに私は、袂....
」より 著者:島崎藤村
したところが書けもしなかろうと思います。そりゃあもう、阿父が店のものに対しては、面向の出来ないようなことをして行きましたからネ。唯、母が可哀そうです……それを思....
正義と微笑」より 著者:太宰治
志望者は六月十五日までに、自筆の履歴書、戸籍抄本、写真は手札型近影一葉(上半身正面向)ならびに戸主または保護者の許可証、相添えて事務所まで御送附の事。試験その他....
ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
き出した。 暫くすると、 「気にするこたねえ」 グルズスキーが顔は仕事台へ正面向けたまんま小声で慰めるように云った。 「食堂にかかってる表《ひょう》へみんな....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
、やがて「アッ」と叫んで私の背後を見た。私も振り返って見たが「アッ」と驚いた。正面向って右側の壁にかかった基督殉難の図が扉のようにギイと開いて、最新式の小型な白....
すり替え怪画」より 著者:海野十三
垂れ下っているが、これを宝角を抱いている様に描き改めた。それから左端のニンフは正面向きに直され、手の形も変えられた。それが済むと女賊は大急ぎで道具類を片附け始め....
昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
との統一を意味するものであろうが、当時らしい概括で流布した建設的精神の解釈は、当面向けられた要求に向って一切の疑問を抱かぬように単純化された生活と精神との所謂真....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いつか、申し上げた、イヤなおばさんから、わたしはイヤなことを言われて、もう世間へ面向《かおむ》けができないほどに、イヤな思いをさせられました。一時はどうしてやろ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
憎悪心が燃え立ちます。 一にも弁信、二にも弁信、あいつがこのおれの面を、世間へ面向けのできないようにしてしまったのだ。思い一度《ひとたび》ここに至ると、酔わな....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
て敵を討つ身寄りがない限り、わたしというものはこうしなければ、家中《かちゅう》へ面向《かおむ》けがなりませぬ。ここをそちに聞きわけてもらいたいが、それほどに言わ....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
西陣の帯地や、褂地《うちかけじ》などを扱う大店《おおだな》がある。 荒物やの正面向う角が両替屋で、奇麗な暖簾《のれん》がかかっていて、黒ぬりの※こういう看板に....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろう、そこは拙者も見ているけれど、残念ながら金は無い、拙者は金がない上に、世間に面向《かおむ》けもできん、うっかりすると命までなくする」 「それでございますから....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
係を現実に理解させましたが、どうもホグベン先生の方が、※ァン・ルーンよりも一層正面向きらしい。どんな本でしょう。『百万人の数学』もどっちもよみたいと思います。近....
こども風土記」より 著者:柳田国男
といったことが記憶せられている。 ベロベロの神様は 正直な神さまで おささの方へ面向ける 面向ける という囃し言葉を唱えつつ、なにか細長いものを手で廻したという....