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面影
「面影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面影の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
《うと》しで、以前ほど悲しい記憶はなかったまでも、私自身打ち殺した小夜《さよ》の
面影が、箒星《ほうきぼし》の尾のようにぼんやり纏《まつ》わっていたのに相違ござい....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
さい。それでも彼等の夢に見える、大日如来の姿の中《うち》には、印度|仏《ぶつ》の
面影《おもかげ》よりも、大日※貴が窺《うかが》われはしないでしょうか? 私《わた....
「或る女」より 著者:有島武郎
れるような華奢《きゃしゃ》な可憐《かれん》な姿をした葉子が、慎みの中にも才走った
面影《おもかげ》を見せて、二人《ふたり》の妹と共に給仕《きゅうじ》に立った。そし....
「或る女」より 著者:有島武郎
まれなかった。倉地の居間《いま》になっている十畳の間《ま》に行って、そこに倉地の
面影《おもかげ》を少しでも忍ぼうとした。船の中での倉地との楽しい思い出は少しも浮....
「星座」より 著者:有島武郎
しの》ぎ凌いで進んでいこうとするような気禀《きひん》、いくらか東洋風な志士らしい
面影《おもかげ》、おぬいさんをはるかの下に見おろして、しかも偽《いつわ》らない親....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
るのだ。こんな瞬間に限っていつでもきまったように私の念頭に浮かぶのは君のあの時の
面影だった。自分を信じていいのか悪いのかを決しかねて、たくましい意志と冷刻な批評....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
既に人間ではなくなって、一個の専門家即ち非情の機械になっているからだ。お前自身の
面影は段々淡くなって、その淡くなったところが、聖人や英雄の襤褸布で、つぎはぎにな....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
今朝の夢で見た通り、十歳の時|眼のあたり目撃した、ベルナルドーネのフランシスの
面影はその後クララの心を離れなくなった。フランシスが狂気になったという噂さも、父....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の大演説の中で占星術に関する意見を述べているが、これは古代バビロニア流の占星術の
面影を最も明瞭に伝えるものであり、我々には珍しくもまた不思議に思われるものである....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
と東京との過渡期の繁華は、前言ったように、両国が中心で、生馬の眼をも抜くといった
面影は、今の東京よりは、当時の両国に見られました。両国でも本家の四ツ目屋のあった....
「橋」より 著者:池谷信三郎
を発散した。東洋人独特の淑やかさはあり、それに髪は断ってはいなかったが、シイカの
面影にはどこかそのクララに似たところがあった。とりわけ彼女が、忘れものよ、と言っ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
女性が坐って居りました。それが香織だったのでございます。 『何やら昔の香織らしい
面影が残って居れど、それにしては随分老け過ぎている……。』私が、そう考えて躊躇し....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
は理智の薄明り、感情の灯し火」とうたえる久米、真白草花の涼しげなるにも、よき人の
面影を忘れ得ぬ久米、鮮かに化粧の匂える妓の愛想よく酒を勧むる暇さえ、「招かれざる....
「墓」より 著者:秋田滋
頭につきまとって、どうしても離れません。たとえその肉体は腐っていても、在りし日の
面影は認められるであろう。わたくしにはそんな気がいたしました。そして、わたくしは....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
なかったほど久しい前から忘れてしまっていた人たちのことを思い出した。その人たちの
面影だけが私の心の中に生きて来た。私は母から来た手紙の中に、むかし家で使っていた....