靴音[語句情報] » 靴音

「靴音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

靴音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
の生徒たちは、新しい教師を迎えると云う好奇心に圧迫されて、廊下《ろうか》に先生の靴音が響いた時から、いつになくひっそりと授業の始まるのを待ちうけていた。所がその....
外科室」より 著者:泉鏡花
ながら、消毒したるメスを取りてこれを高峰に渡したり。 医学士は取るとそのまま、靴音《くつおと》軽く歩を移してつと手術台に近接せり。 看護婦はおどおどしながら....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
判事と一名の書記とはこれに続けり。 満廷粛として水を打ちたるごとくなれば、その靴音《くつおと》は四壁に響き、天井に※《こた》えて、一種の恐ろしき音を生《な》し....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
、もう近いんですもの」 やや無言にて歩を運びぬ。酔える足は捗取《はかど》らで、靴音は早や近づきつ。老人は声高に、 「お香《こう》、今夜の婚礼はどうだった」と少....
婦系図」より 著者:泉鏡花
込むばかり顔を伏せて、声は立てずに泣くのであった。 「ええ、どうして泣くです。」靴音高く傍へ寄ると、河野も慌しく立って来て、 「泣いちゃ不可ませんなあ、何も悲い....
親子」より 著者:有島武郎
。彼はそこに立ったまま、こんな結果になった前後の事情を想像しながら遠ざかってゆく靴音を聞き送っていた。 その晩父は、東京を発った時以来何処に忘れて来たかと思う....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
早く寝ちまうのだぞオ。――」 そういい置いて、二人の監守は室を出ていった。――靴音はだんだん遠のいて、次の室を明けるらしいガチャンガチャンという音が聞えてきた....
海底大陸」より 著者:海野十三
いじりながら、ひとりごとをいった。 そのとき、タラップを当直の水兵がトコトコと靴音をさせてあがってきた。 「――おォーイ、スミス警部どのォ。警部どのォ」 警....
火薬船」より 著者:海野十三
」 そういって少尉は、隊員をひきつれ、さっさと公室を出ていった。 少尉たちの靴音が甲板へきえても、虎船長はじめ公室の一同は、その場を石のようにうごかなかった....
怪塔王」より 著者:海野十三
す。 (どこかで、見たことのあるような鍵穴だが――) そのうしろに、塩田大尉の靴音が、こつこつこつときこえてまいりました。 「ざんねんだなあ。どこにもそんな大....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
うしよう。あなたあ、――」 そういう騒の最中に、真暗な無線室の外を、どどどっと靴音をひびかせて通りすぎる一団がある。なにかわめいているが、暴徒だか監視隊だか、....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
員室から、若い杜先生が姿をあらわした。 コンクリートの通路のうえを、コツコツと靴音をひびかせながらポイと講堂の扉をあけて、なかに這入っていった。 ガランとし....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
に逢ってから、私ゃ死にたくなくなったよ。」 と、じっとその手をしめたるトタンに靴音高く戸を開けたり。 お貞はいかに驚きしぞ、戸のあくともろともに器械のごとく....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
さん、謙さん、私ゃ、私ゃ、顔が見たかった。」 と肩に手を懸け膝に抱ける、折から靴音、剣摩の響。五六名どやどやと入来りて、正体もなき謙三郎をお通の手より奪い取り....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
一足先に田圃から上つて来た初世は、水屋で昼飯の仕度にかかつていたが、折からの重い靴音を聞いて、戸口の方を振り返つた。 と、初世は狂つたような叫び声を上げた。 ....