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「音無〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

音無の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:芥川竜之介
《わらべ》たちが鹿狩《ししがり》と云っては、小犬を追いまわすのも同じ事じゃ。ただ音無《おとなし》の滝《たき》だけは本物よりもずっと大きかった。」 「それでも都の....
駈込み訴え」より 著者:太宰治
から、よく私の言うことを聞いて忘れぬようになさい」ひどく物憂そうな口調で言って、音無しく食事を始め、ふっと、「おまえたちのうちの、一人が、私を売る」と顔を伏せ、....
ロマネスク」より 著者:太宰治
て坐って、三尺ほど前方の畳のへりを見つめながら三郎は考える。嘘は犯罪から発散する音無しの屁だ。自分の嘘も、幼いころの人殺しから出発した。父の嘘も、おのれの信じき....
縮図」より 著者:徳田秋声
しものは大菩薩峠に温泉場景などであったが、許嫁の難を救うために、試合の相手である音無し流の剣道の達人机龍之助に縋って行くお浜が、龍之助のために貞操を奪われ、許嫁....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
まで礼装が要る。之がイギリス・ゼントルマン風の偽善というものだ。勿論儀式は人間を音無しくする。それは社会秩序の安寧に対する感謝の黙祷なのだが、処が現代はこの儀式....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
がら吹くとイヨイヨ調子が消え消えとなる。そこで死物狂いになってスースーフウフウと音無しの笛を吹き立てたが、とうとう鳴らないまま一曲を終えて、どんなに叱られるかと....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
である。 伊東市の、ちょうど温泉町と漁師町の境界をなしているのが大川で、一名、音無川ともいう。この川では鮎とウナギがとれ、通人の愛好するモクゾオ蟹がとれる。又....
わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
ガイない。 伊東へつく。一行は直ちに尾崎士郎を訪ねて酒をのむ。私は酔っ払って、音無川へ水浴に行った。尾崎士郎を訪ねた時の酔余のよろこびはこれである。音無川で水....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
ックルは熱海の比ではない。明るい大通りへ進出しているのである。さらば閑静の道をと音無川の清流に沿うて歩くと、暗闇にうごめき、又はヌッとでてくるアベックに心胆を寒....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
知りあいの二三の家もちょうど焼け落ちたころであった。 私は六時半に散歩にでた。音無川にそうて、たそがれの水のせせらぎにつつまれて物思いにふけりつつ歩く。通学橋....
温浴」より 著者:坂口安吾
温泉がなかった。 今の家は比較的街に近くて、この上もなく閑静だ。私の書斎の下は音無川で、一方は水田であり、自分の家の物音以外は殆ど音というものがない。その上、....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
顔を洗い手を洗う。水温は山中の谷川に比較すれば問題にならぬほど、生ぬるい。伊東の音無川は河床から温泉がわいて甚しく生ぬるい谷川であるが、五十鈴川はそれよりもちょ....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
ラヴィニアかく言いて、家の入口の扉に背を向けていると、或る目に見えぬ手、帷幔を音無く、然し力烈しく側えに引く。皆々チチアネルロを先頭にして、音を立てず、息をこ....
放浪」より 著者:織田作之助
之倖いと後妻をいれた。之倖いとはひょっとすると後妻のおそでの方で、康太郎は評判の音無しい男で財産も少しはあった。兄の文吉は康太郎の姉聟の金造に養子に貰われたから....
春泥」より 著者:久保田万太郎
それ。」田代はすかさず「どうして心がらだ? ――どうしてあの人が心がらだ?」 「音無しく、彼奴、麻布の狸穴に引っ込んでればよかったんだ。――何もこんな小梅|三界....