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「響かせる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

響かせるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
論午後までは帰って来ない。その跡にはただ長い廊下に、時々|上草履《うわぞうり》を響かせる、女中の足音だけが残っている。 この時もそれが遠くから、だんだんこちら....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
りを打つ事さえ厭《いや》になった。自分がまだ眠られないという弱味を階下《した》へ響かせるのが、勝利の報知として千代子の胸に伝わるのを恥辱と思ったからである。 ....
食魔」より 著者:岡本かの子
しに、また次の申付けをおどおどしながら待受けているさまは、鼈四郎には自分が電気を響かせるようで軽蔑しながら気持がよいようになった。世を詛い剰って、意地悪く吐出す....
石狩川」より 著者:本庄陸男
をさらしはじめる。その下を流れる水の音が聞えて来る。ぶきみな音を、うおンうおンと響かせる。閉めつけた凍氷を呪うような叫びが聞こえる。やがて春は、下から、地のなか....
猫車」より 著者:宮本百合子
打算とを向けているのである。そう思って、負けずぎらいな重蔵が瀬戸ものの歯の間から響かせる高笑いを聞いているだけでもお縫は胸苦しいような気がした。年頃のお縫には、....
連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
局三つか四つの弦を同時に鳴らせた一つの和弦を聞くか、あるいは和弦を分解して交互に響かせるアルペジオを聞く場合と類似の過程である。つまり一つの句をたとえばピアノの....
映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
この活劇を生かす上においてきわめて重要な「俳諧」であると思われる。最後のトニカを響かせる準備の導音のような意味もあるらしい。 配役の選択がうまい。鈍重なスコッ....
五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」より 著者:宮本百合子
化の声を、都会の勤労者住宅居住者五〇パーセントに、農村では三五パーセントの農戸へ響かせる計画だ。つまりラジオ拡声装置所は集団農場の拡大につれ二万四千から五万千ヵ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
い》ったところがあります。大絃《だいげん》は※々《そうそう》として、急雨のように響かせるところは響かせます。小絃《しょうげん》は切々《せつせつ》として、私語のよ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
一日のうちには幾度か、その視線の下にあり、そして折々ひろげられ、互の生活の全身を響かせるのであると思う。よろこびの感情や幸福感は、何と急に、思いがけない包の中な....
現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
的探求は個人生活の相貌を直接に表現することを要求し、社会的見解は群衆の魂の叫びを響かせることを要求する。そしてその手段方法のうちに、幾多の危険があり、文学的歪曲....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
とができなかった。それでも強《し》いて話をした。しかし口に出す一語一語は、空虚を響かせるばかりだった。彼らはあたかも自動人形のように、何にも見も感じもしないで散....
日記」より 著者:宮本百合子
車の響に耳を傾ける。先達って中より何だか空気が軽く敏感になり物音を遠く、かすめて響かせるように思う。あつい着物を脱ぎたいような衝動を感じさえする。 午後しとし....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
た。クリスマスの夕にようやく吊り上げて、岩永君らが朝昼晩、昔ながらの懐かしい音を響かせる。 「主のみ使いの告げありければ……」誠一も茅乃も跳ね起きて毛布の上に座....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
うではない。歌謡は民族の心に宿って、永久に宮廷の内にも村閭の間にも、そのうた声を響かせる。のみならず、古い歌とともに絶えず新しい歌もまた生み出される。古い形式が....