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頓に
「頓に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頓にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虹と感興」より 著者:上村松園
わず行水から出て、東の方を見ますと、鮮やかな虹が立っておりました……その時私は、
頓にこの屏風の図題に思いついたのでした。私は虹を背景にして、人物を組立てることに....
「雷同性に富む現代女流画家」より 著者:上村松園
。 我が国では昔から女が絵を習うということは極く稀なことでありましたが、近頃は
頓にその数を増しております。私は思いますに、これは新聞や雑誌が無頓着にも誰れ彼れ....
「雷」より 著者:海野十三
ある。そう、六キロメートルも行けばいいが、それに大して賑かではないけれど、近頃|
頓に戸口が殖えてきた比野町という土地がある。 それは梅雨もカラリと上った七月の....
「キド効果」より 著者:海野十三
をうってある三つの曲線図を、一列にキチンと並べられた。 「はア――」 丘助手は
頓に返辞もなりかねて、図面の上に視線のいなずまを降らせた。 (測定者・木戸とある....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
。 「おお、貴女は……」 一郎はあまりの意外に、棒のように突立ったまま、言葉も
頓には出なかった。意外とも意外、その芝草の上に立っていたのは誰あろう、いま都下第....
「振動魔」より 著者:海野十三
て、思わず、手尖にあたった実験台の角をギュッと握りしめたのだった。そして、言葉も
頓に発し得ないで、反対の側の片隅を、無言の裡に指した。そこには黒い横長の木札の上....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
いなかったものは無かろう。給仕長の圭さんは、白い上着を酒瓶の蔭にかくしてなにか整
頓に夢中になっているように見せて置いて、然るのち、その蔭に鈴江をよびこむと、春ち....
「蠅」より 著者:海野十三
を得て入って来たか」 将校たちに詰めよられた少年は、眼をグルグル廻すばかりで、
頓に返辞も出せなかった。 「オイ、許してやれよ」フョードル参謀が声をかけた、「い....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
のいい、しかし何だかひやかされているような気がしないでもない北外の挨拶に対して、
頓に言うべき言葉もなかった。しかし此のまんまるく太った子供の相撲取のような男の顔....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
礼でございますし」夫人は両袖を前に掻き合せた。 かの女は夫人をあわれと思い乍ら
頓に失望を感じた。あれほどの複雑な魂を持つ青年の母としては、あまりに息子の何もの....
「俗臭」より 著者:織田作之助
の大いに得意とするところである。酔った時に概ねあらわれるのだが、この時は、この頃
頓に増して来た政江の威厳に圧されたのであろう。この度胸に就て一言するならば、例え....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
猛進した。今や迂廻軍が敵の背後で喊声をあげているのを聞いた信玄の旗本軍も、士気|
頓にふるい、各将は「先手衆が来たぞ戦は勝ぞ」と連呼しつつ旗をふり鞍をたたいて前進....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
ず剣戟も傷くる能わずと思っていたのに、四郎が傷いたので、彼等の幻影が破れ、意気|
頓に沮喪したと云われる。 幕軍は、城中に在ったものは老幼悉く斬って、その首を梟....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ならないことを云うものじゃありませんよ。そんなことを云えば、貴女だって、この頃は
頓に、美しく若々しいじゃありませんか。」 「嘘おっしゃい」 酒の下地で、常より....
「河豚は毒魚か」より 著者:北大路魯山人
して君臨し、群魚の美味など、ものの数でなからしめた。ためにふぐ料理専門の料理店は
頓に増加し、社用族によって占領されている形である。関西ならば、サラリーマンも常連....