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頓興
「頓興〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頓興の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
くだ》けかかった花を鄭寧《ていねい》にその中へ挿《さ》し込んだ。そうして今までの
頓興《とんきょう》をまるで忘れた人のように澄まし返った。それがまたたまらなくおか....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
せて、ぼんやりして帰りがけ、その横町の中程まで来ると、早瀬さん御機嫌宜しゅう、と
頓興に馴々しく声を懸けた者がある。 玄関に居た頃から馴染の車屋で、見ると障子を....
「観画談」より 著者:幸田露伴
ろだ。という委細の談を聞いて、何となく気が進んだので、考えて見る段になれば随分|
頓興で物好なことだが、わざわざ教えられたその寺を心当に山の中へ入り込んだのである....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
眉の濃い、眼の可愛い、倔強な田舎者らしい骨格をしながら色の少し蒼い、真面目な様で
頓興な此十七の青年と、著者の家族は大分懇意になった。角谷は自分の巾着から女児に鼠....
「昇降場」より 著者:広津柳浪
『私もそうよ。久振りで御目に掛るんですもの。』 『あらいやだ。』 若子さんは
頓興に大きな声で、斯うお云いでしたから、何かと思うと、また学生がつい其処に立って....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
言いも終らず、快活に、 「気扱いがいる奴じゃねえ、汚え婦人よ。」 「おや!」と
頓興にいった、婆の声の下にくすくすと笑うのが聞える。 「婆ちゃん、おくんな。」と....
「今戸心中」より 著者:広津柳浪
た。 次の間にいたお梅が、「あれ危ない。吉里さんの花魁、危のうござんすよ」と、
頓興《とんきょ》な声を上げたので、一同その方を見返ると、吉里が足元も定まらないま....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、畳んだ着物を上から二ツ三ツ圧えてみた。 「お嬢さん、盗賊?」と弥吉は耐りかねて
頓興な声を出す。 「待って頂戴。」 お縫は自らおのが身を待たして、蓋を引いたま....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、八ツさがりの飯炊の耳には恐しく響いたので、(騒々しいじゃあないか、誰だよ。)と
頓興に、驚かされた腹立紛れ。勝手口から入るものには、この位なことをいって差支えな....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
はトルコ風に寐台に趺を坐いて、山雀のように止め度もなく囀り、小声で歌い、ヒヒヒと
頓興に笑い出したりしているが、夜に祈祷をする時でも、やはり元気で、子供のように愉....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
に放ったような音が鳴り止まずにいた。「恐いのう、あの下に居たりゃ生命は無いぞ」、
頓興な声と共に金作は、腰の煙草入れを抜き出して先ず一服と尻を落ち付ける。 雪渓....