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「頬桁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

頬桁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
「こののろま野郎!」 お島は血走ったような目一杯に、涙をためて、肉厚な自分の頬桁《ほおげた》を、厚い平手で打返さないではおかない小野田に喰《く》ってかかった....
婦系図」より 著者:泉鏡花
のまま声をかけたが、落着かれず、またひょいと目を上げると、その発奮で目金が躍る。頬桁へ両手をぴったり、慌てて目金の柄を、鼻筋へ揉込むと、睫毛を圧え込んで、驚いて....
火の唇」より 著者:原民喜
》き分け、喚《わめ》くように波に押されながら、恐しい渦のなかに彼はいる。しぶきが頬桁《ほおげた》を撲《なぐ》り、水が手足を捩《も》ぎとろうとする、刻々に苦しくな....
壊滅の序曲」より 著者:原民喜
かりで、なかなか出発にはならなかった。その朝、態度がけしからんと云って、一青年の頬桁《ほおげた》を張り飛ばした教官は、何かまだ弾む気持を持てあましているようであ....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
い。骨を離れて流れて了ったのだ。無気味にゲタと笑いかけて其儘固まって了ったらしい頬桁の、その厭らしさ浅ましさ。随分|髑髏を扱って人頭の標本を製した覚もあるおれで....
地球要塞」より 著者:海野十三
ば、余は彼等を海の中になげこむばかりだ」 「云ったな」 私は憤然として、提督の頬桁《ほほげた》をなぐりとばした。私は、もはやこれ以上、日本民族への侮辱にたえら....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
た。ついでイワン・フョードロヴィッチとアリョーシャのめんどうを見た、そのおかげで頬桁《ほおげた》を一つ見舞われたような始末だが、しかしこんなことは皆、もう前に話....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
がここに控えておれば、金蔵破りのほうはいっさい心配はいらぬと大仰《おおぎょう》な頬桁《ほおげた》をたたいておったのを、わしはたしかにこの耳で聞いたぞ。これでも言....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
悪く落着いてやがる。見りゃア駕籠舁の風体だが、ここを伊勢駕の繩張りと知ってそんな頬桁をたたきやがるとは、なかなか見あげた度胸だ。なんといったって、銭をおかねえう....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
! 何をしやあがる」 それは、お駒ちゃんが、火のような自分の感情の中で、磯五の頬桁《ほおげた》へ手を飛ばしたのだった。 磯五は、感心したようににやにやして立....
監獄部屋」より 著者:羽志主水
で、腕力《ちから》も無けりゃ智慧もねエ、様《ざま》ア見やがれ、オイ、閻魔ッ、今|頬桁《ほおげた》叩きやがった餓鬼共ア、グズグズ言わさず――見せしめの為だ――早速....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
くらべると、あの女房め、眼付きばかりは小賢しげでも、年甲斐もない愚か者じゃ。あの頬桁一つくらわしてくりょうとも思うたが、あやつでもさすがに猫よりもましじゃと料簡....
三枚続」より 著者:泉鏡花
て何がおもしろい。畜生、」と自ら嘲って、嚔を仕損ったように眉を顰め、口をゆがめて頬桁をびっしゃり平手でくらわし、 「様あねえ、こんなお大名の内にも感心に話せそう....
活人形」より 著者:泉鏡花
を振り、いや、他の奴と違う。ありゃお前、倉瀬泰助というて有名な探偵だ。見ろ、あの頬桁の創の痕を。な、三日月|形だろう、この界隈でちっとでも後暗いことのある者は、....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
の餓鬼ひとりだって傍に置いたこともないくせに……」 「………」自分の拳固が彼女の頬桁に飛んだ。…… ほとんど一カ月ぶりで、二時過ぎに起きて、二三町離れたお湯へ....