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「頬紅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

頬紅の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
筆を動かしながら、忙《せわ》しそうにビルを書いている。額の捲《ま》き毛、かすかな頬紅《ほおべに》、それから地味な青磁色《せいじいろ》の半襟。―― 陳は麦酒《ビ....
女生徒」より 著者:太宰治
悲しさや苦しさや、そんな心持とは、全然関係なく、別個に自由に活きている。きょうは頬紅も、つけないのに、こんなに頬がぱっと赤くて、それに、唇も小さく赤く光って、可....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
て、茉莉の方へかけよった。 茉莉の顔は、青ざめた陽子よりも、血の色がなかった。頬紅の色まで青く変っていた。 そして、口から泡をふき出して、床の上を蛭のように....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
を着て、公園の正門の前にしょんぼり佇んでいた。臙脂色の着物に緑色の兵児帯をしめ、頬紅をさしていた。それが、子供めいても、また色っぽく見えた。 「一時間も待ってた....
蠅男」より 著者:海野十三
なかった。 「帆村はん。もうお目醒め――」 と麗人糸子は、憔悴した面に身躾みの頬紅打って、香りの高い煎茶の湯呑みを捧げ、帆村の深呼吸をしているバルコニーに現わ....
黄金の枕」より 著者:田中貢太郎
なかったが、しだいにくつろぎを感じてきた。主婦は白いすき透るような顔へうっすらと頬紅をさしていた。 「そうしてお歩きになっておりますと、ずいぶん面白いこともござ....
大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
化粧は終りに近づいた。彼は細い刷毛《はけ》を以て、金線細工の小箱から少しばかりの頬紅を取った。それは聖僧の遺骸を収める箱の雛形とも云うべき形をして、蓋には十字架....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
客席を片づけてダンスホールに一変した。村の娘という娘がみんなパーマネントをかけて頬紅口紅、アイシャドウ、毒々しいまでにメイキアップをして、中には着物を洋装に着代....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ながら、反り返っているまつ毛の一本一本に、メーヴェリンを塗っている。刷毛でつけた頬紅を、脱脂綿でまたほのぼのとふきとり、上唇の濃いルージュを、下唇に移して、油性....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
た。と云うのは支那製の白粉で、部厚く一面に、塗りくろめ、書き眉をし、口紅をつけ、頬紅を注しているからである。特色的なのは眼であろう。眼窩が深く落ち窪み、暗い深い....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
だから私はこのテーマに滑稽なほど熱中した。 その頃私は鏡台に向かったり、そっと頬紅をつけたこともあった。帽子や、着物や、髪のかり方にこまかい注文がつき出した。....
木彫ウソを作った時」より 著者:高村光太郎
の黒い中で眼の動いているのがまた美しく、更にその黒に境して大きく円い頬がきれいに頬紅をさして毛並美しく頸にかぶさっているのだから、このウソの首だけでも、いかにも....
曲馬団の「トッテンカン」」より 著者:下村千秋
わか姉さんは幕のかげに新吉をかくして、そこでお化粧をしてやりました。白粉をつけ、頬紅、口紅をつけ、まゆずみを引き、目のふちをくま取り、それからきえちゃんの芸服を....
余齢初旅」より 著者:上村松園
、にやけた男が提琴をひいている、するとやがてそこへ芸者が出てくるのである。芸者は頬紅をつけている、そして今の提琴をひいている男の隣に腰をかけてその楽器に合わせて....