頭字[語句情報] » 頭字

「頭字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

頭字の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
藁草履」より 著者:島崎藤村
た。 源吉というのがこの若者の名で、それを山家《やまが》の習慣《ならわし》では頭字ばかり呼んで、源で通る。海の口村の若い農夫には、いずれも綽名《あだな》があっ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
逸作の腕に支えられながら、弟の医者にちょっと脈を検められ、「生きの身の」と、歌の頭字の五文字を胸に思い泛べただけで急いで帰宅の俥に乗り込んだだけを記して、早くこ....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
ると、成程彼がすでにだいぶ調べたと見えて、アの字の部の所が開かれている。秋という頭字をひろつてゆくと、秋川という姓はたつた一つしかない。 秋川駿三、なるほどこ....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
の箱は、外から見たところでは他の船乗衣類箱と同じようだった。蓋には「B.」という頭字が烙鉄で烙印してあった。永い間手荒く扱われたためか角は幾分ひしゃげて壊れてい....
未来の天才」より 著者:豊島与志雄
山口静子様、と並べて書き、横の方に贈呈と誌した。裏にはただ一字Kと認めた、木川の頭字を取ったのである。 さて、こう事がきまってしまうと、私はその午後をどう過し....
黒点」より 著者:豊島与志雄
当時、「戸崎町の殺人」として新聞に詳しく報道された。 犯人はすぐにつかまった。頭字入りのソフト帽が現場に残っていたのと、お清やお新や母の証言があった。そして犯....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ると、またそれぞれ様子ぶる方がいいように考えた。そして林の出はずれの木に、二人の頭字を組み合わして彫りつけた。しかしその感傷的な気分は、上|機嫌《きげん》な心に....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
続を簡単に示す小題がついていた。クリストフはそこに、ひそかな捧呈《ほうてい》文や頭字や日付などを書いておいた。それは彼一人にしかわからないものであって、彼に過去....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
たウーリカを三、四人の友に読んできかしていた。ルーヴルの美術館では、ナポレオンの頭字Nはすべてのものから消されていた。オーステルリッツ橋はその名が廃せられてジャ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
章を取り除くことは、有用なことであるか。イエナ橋からNの字(訳者注 ナポレオンの頭字)を消したヴォーブラン氏を吾人は嘲笑《ちょうしょう》する。しかしいったい彼は....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
と後になってしか、四つの大文字の意味を解することはできなかった。それは次の意味の頭字だった、「五百人長、百人長、十人長、捜索兵。」また右下の小文字は次の日付だっ....
家なき子」より 著者:楠山正雄
を着ていた。その着物のうち二|枚までは、F・D、すなわちフランシス・ドリスコルの頭字がついていたが、それはおまえをぬすんだ女が切り取ってしまったそうだ。そのわけ....
生きている戦死者」より 著者:牧逸馬
ほとんど識別出来ないほど白骨化している。指の骨に結婚指輪をはめていて、その内側に頭字《モノグラム》が彫ってあった。それによって屍体は、維因納の相当大きな毛皮商の....
土から手が」より 著者:牧逸馬
姓ではなく、呼称であるとは仮装出来ないだろうか。「フランシス某夫人」――この第一頭字のFを取って、二つの名に「F・フランシス夫人――F・デェヴィス夫人」と突嗟に....
妖怪談」より 著者:井上円了
ある。かかるときに板は回りて、ある文字、夫人の前に至らば、ただちにこれはわが父の頭字なりと感ず。また、そのつぎの字なりと思惟するがゆえに、微動と顔色とは時々刻々....