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頼り無い
「頼り無い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頼り無いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
は辛うじて青春説を口にしたが、しかし、肚の中では、 (つまりこいつは忘れっぽい、
頼り無い男なんだ)と妙に諦めていた。 だが、豹一は何か底知れぬ野崎の魅力に触れ....
「恩人」より 著者:豊島与志雄
てあげるわ。」 西に傾いた日影の移ってゆくのが眼に見えるように早く感じられた。
頼り無いような気分が室の中に漲って、三人共、それに浸り乍ら、過ぎ去って行くものの....
「球突場の一隅」より 著者:豊島与志雄
。彼等の心にはそれぞれそれとも云えぬ空虚な傷があった。其処から次第に対象の分らぬ
頼り無い憤懣の情が起って来た。 「此度はどうしてこう妙な気持ちになったんだろうね....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
て眠りに入った。彼は何かしら疲れ切ったような感覚を身内に覚えた。 訳の分らない
頼り無いような悪夢を感じて、ふと矢島さんが眼を覚したのは夜中であった。 彼は半....
「運命のままに」より 著者:豊島与志雄
ser《ベーゼ》 の時から始まったのである。 その日も私は英子の机に倚りながら
頼り無いような幸福の時間を過した。そして沈黙が二人の間に落つると、私はわけもなし....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
の心にふうわりと被さって来た。それは単なる情緒ではなかった。淋しい佗びしいそして
頼り無いようなものが、彼の心の上に煙のようにふうわりと投げかけられたのである。で....
「愚かな一日」より 著者:豊島与志雄
がお帰りになると、河野はいつも黙り込んで淋しそうにしていますし、私はまた何となく
頼り無いような気持ちになって、家の中が急に陰気になりますのよ。」 「それでは折角....
「或る女の手記」より 著者:豊島与志雄
って来た。 三月の十二日、その日は朝からどんより曇って、そよとの風もない、妙に
頼り無い気のする日であった。朝は廻り途をして学校へ行った。帰りに廻り途をしようと....
「同胞」より 著者:豊島与志雄
人きりだということは、自由なのびのびとしたことだったが、一方にはまた、張合のない
頼り無いことでもあった。そして余りに広々とした満ち足りない心で、月や雪や花などを....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
しに出歩いてくるがいいよ。」 父と母とがそんな風な応対をしてるのを見ると、私は
頼り無いような気持になった。それでも、食べ物の方はいつもより御馳走があるようだっ....
「道化役」より 著者:豊島与志雄
な耳朶を持っていた。薄倖そうな可憐な耳朶が島田の鬢からのぞいてるのを、私は彼女の
頼り無い存在の象徴のように思った。彼女が私の名を叫びながら二階から落ちて死んだ、....
「秋の気魄」より 著者:豊島与志雄
っ立たせる。秋を淋しくないと云う者は、衣服を脱いで真裸でつっ立つ折の、妙に佗しい
頼り無い淋しさを、鈍感のためにか或は厚顔無恥のためにか、身に感じないていの者であ....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
今さら父母の仇敵と、秀次公を狙おうなどとは、決して思っては居りませぬどころが、手
頼り無い身でござりますので、いっそ両親の菩提のために、諸国の神社仏閣を、巡拝いた....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
、向うまで深く湛えた湖水の面と青く研ぎ澄された空との間に、大きい銀杏の木が淋しく
頼り無い郷愁を誘っている。知らない間に一日一日と黄色い葉が散ってゆく、そして今で....
「雨」より 著者:織田作之助
なかったお君の生命感に想いをいたし、腹の中でそっと夫々の妻の顔を想い浮べて、何か
頼り無い気持になるのだった。校長はお君の拍手に満悦であった。 三七日の夜、親族....