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「顎髭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

顎髭の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
火星探険」より 著者:海野十三
、すたすたと群衆の方へ近づく。 博士の噂 デニー博士は、頬髭《ほほひげ》顎髭《あこひげ》の中から、疲れた色を見せていた。長身|猫背《ねこぜ》を丸くし、右....
むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
し、あの方のはそればかりじゃないんですよ」 と云って、彼は唇を真一文字に結び、顎髭をしごいている。伯父の死に就いて、彼のみが知る、何事かがあるに違いないのだ。....
船医の立場」より 著者:菊池寛
だ。 「あなたは、あまりに興奮し過ぎる。あなたはもっと現実を見なければいけない」顎髭《あごひげ》を蓄《たくわ》えた五十近い艦長は、若者を宥《なだ》めるようにいっ....
真間の手古奈」より 著者:国枝史郎
の様子をしばらくの間、左衛門は見守って居りましたが、やおら膝をその方へ進ませ長い顎髭を前へ差し出し、さとすような声でいいました。 「死を覚悟していられましょうな....
白銀の失踪」より 著者:ドイルアーサー・コナン
の紳士が停車場まで迎えに来ていた。一人は背の高い色の白い人で、獅子のような頭髪と顎髭とを持ち、明るい青色の眼には妙に射るような光があった。もう一人は小柄できびき....
縮図」より 著者:徳田秋声
りに行くと、均平はちょうど、風邪の気味で臥せっていたが、身辺が何だか寂しそうで、顎髭がのび目も落ち窪んで、哀れに見えた。均平から見ると、宿酔いでもあるか、銀子の....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
と論じあったので板倉中《いたくらちゅう》という人の、赤ら顔の、小肥《こぶと》りの顎髭《あごひげ》のある顔と、ずんずら短い姿と名を覚えている。この時も、正面の桟敷....
魔都」より 著者:久生十蘭
うな見事な漆黒の髭を貯え、一方は一と眼で育ちが知れる極めて卑賤の相を持ち、かりに顎髭があるとしてもまだ生毛《うぶげ》の程度に過ぎぬのである。有明荘のお馬婆や溜池....
予審調書」より 著者:平林初之輔
らねえ。」 予審判事は、じろりと氷のような視線を老教授に送った。老教授の半白の顎髭《あごひげ》が細かくふるえているのは、五尺もはなれている判事の眼にもはっきり....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
りすがりに、何の気なしに中を覗いて見ると、つい鼻先きの寝台の上に、若い男の、薄い顎髭《あごひげ》を生やした、蝋《ろう》のような顔が仰向いているのがちらりと見えた....