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顔付
「顔付〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顔付の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ってしまった人のことだ。浪費の後の苦々しい後味を、強いて笑いにまぎらすその歪んだ
顔付を見るがいい。それは悲しい錯誤だ。お前が愛の極印のないものを施すのは一番大き....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
もいいそうな顔を妻の方に向けて置いて、歩きながら帯をしめ直した。良人《おっと》の
顔付きには気も着かないほど眼を落した妻は口をだらりと開《あ》けたまま一切無頓着で....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
僕がジムの絵具を取ったことを委《くわ》しく先生に言いつけました。先生は少し曇った
顔付きをして真面目《まじめ》にみんなの顔や、半分泣きかかっている僕の顔を見くらべ....
「赤いくつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ました。その天使は白い長い着物を着て、肩から足までもとどくつばさをはやしていて、
顔付きはまじめに、いかめしく、手にははばの広いぴかぴか光る剣を持っていました。 ....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
様にふるまいました。けれども、あの一|番おしまいに殻から出た、そしてぶきりょうな
顔付きの子家鴨は、他の家鴨やら、その他そこに飼われている鳥達みんなからまで、噛み....
「露肆」より 著者:泉鏡花
突然、年増の行火の中へ、諸膝を突込んで、けろりとして、娑婆を見物、という澄ました
顔付で、当っている。 露店中の愛嬌もので、総籬の柳縹さん。 すなわちまた、そ....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
行の方法を知らないのかい?」 「余計はことをいわなくてもいい。」 彼が恐ろしい
顔付きをしていい終わったか終わらないうちに、Oはそこまで引き返して来ていました。....
「転機」より 著者:伊藤野枝
さるそうだがお前さんは知りませんか。」 その男はやはり、今までと同じように妙な
顔付きをして、私達を見た後にいった。 「谷中へは、誰を尋ねてお出でなさるんです?....
「錦紗」より 著者:犬田卯
うまそうにやっていた。どこと言ってこの辺の普通の百姓と変りのないその様子……身装
顔付、応対ぶり、それらが村人をして何の遠慮もなくここへ足を踏み入れさす原因かも知....
「米」より 著者:犬田卯
いた。 「おっ母さん、いまのあれ違っていべえな。」 勝は相変らずきょとんとした
顔付で、眼ばかり輝かせていたが、こんどは、違っていても差支えないのかというように....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
出来ない――何しろ様子がすこぶる変なので、どこでもきっと男が出て来て、蒼蝿そうな
顔付を見せ、まるで乞食を追払うような体裁で 「無いよ無いよ。向うへ行ってくれ」と....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
「孔乙己、お前は本当に字が読めるのかえ」 孔乙己は弁解するだけ阿呆らしいという
顔付で、その人を眺めていると、彼等はすぐに言葉を添えた。 「お前はどうして半人前....
「端午節」より 著者:井上紅梅
講堂の中には二十名余りの学生が散在していた。ある者はいかにもそうだ、というような
顔付した。この話を好いと思ったのだろう。ある者は憤然とした。青年の神聖を侮辱する....
「絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
るような図が描いてあったのです。ところがそれを見られて土田麦僊さんが不思議そうな
顔付きで、この土坡の墨味がこういう風にムクーッと柔かくいってるのは一体どんな風に....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
を探し始めた。 彼らは一時間ほど探してから、三人|鳩首して首をかしげ、晴れない
顔付のままで公園から出ていった。 当夜、袋探偵が拾った折鞄は、烏啼天駆の義弟の....