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顔向け
「顔向け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顔向けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
皮を乗せた。二人は言い合せたようにもう一度小屋を見廻した。
小屋の戸を開けると
顔向けも出来ないほど雪が吹き込んだ。荷を背負って重くなった二人の体はまだ堅くなら....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
たりき。 「道ならないことだ。そんな真似《まね》をした日には、二度と再び世の中に
顔向けができない。ああ、恐ろしいことだ、……けれども才覚ができなければ、死ぬより....
「勝負事」より 著者:菊池寛
二人とも寝てしまいました。 私は、修学旅行の仲間入りのできないことを、友達にも
顔向けのできないほど、恥かしいことだと思い詰めていたものですから、一晩中でも泣き....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い事実を云い触らされたのを非常に恥じて怨《うら》んだ。おとなしい彼女は世間にもう
顔向けができないように思って、その事実の有無《うむ》を弁解するよりも、いっそ死ん....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
とがにん》の仕返しが怖くって、仲間の知恵を借りたなぞと云われちゃあ、世間に対して
顔向けが出来ねえ。勿論おまえさんの一料簡で出て来たのだろうが、そんな事をするのは....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をしたという濡衣をきせて追い出すというのはあんまりだ。里へ帰って親兄弟や親類にも
顔向けが出来ない。きっとこの恨みは晴らしてやるというようなことを、仲のいい老婢に....
「赤外線男」より 著者:海野十三
警察へ出まして、妹梅子の轢死体を頂戴いたして帰りましたが、まあこのような世間様に
顔向けの出来ない死に様でございますから、お通夜も身内だけとし、今日の夕刻、先祖代....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
伸びて、やがて対向なる、二階家の窓に達かんとす。その窓に時々姿を見せて、われに笑
顔向けたまうは、うつくしき姉上なり。 朝な夕な、琴弾きたまうが、われ物心覚えて....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ほど、どんな噂だな?」「なんでも今年の春のこと、旦那というのに髪を切られ、世間に
顔向けが出来ないので、それでずっと休んでいたのが、今度旦那から金を取り、自分が座....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
ある位ですから、その家の娘たちが色気違いのようになってしまっては、世間へ対しても
顔向けが出来ません。曽田屋でも困り抜いた挙げ句に、姉は小倉にいる親類に預け、妹は....
「経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
事に歳を越すことも出来ない始末である。万一この縁談が破れたなら、わたしは井戸屋に
顔向けが出来ないばかりでない。ここで井戸屋に見放されたら、この年の瀬を越しかねて....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
通り、組内でもいろいろの噂をしているので、もし仕損じるようなことがあったら、人に
顔向けも出来ないので……。」 尾白の鷲は上総の山から海を越えて来るともいい、あ....
「米」より 著者:犬田卯
、常規でなければならなかった。でなければ曲りなりにも一家を張っている以上、人様に
顔向けが出来なかった。 早く麦でも売って、その金でそっと必要なだけの米を買いた....
「判決」より 著者:カフカフランツ
けている」と、ゲオルクは自分に言い聞かせた。それを言いふらしたら、おやじを世間に
顔向けできぬようにしてやることができるんだ、と彼は思った。そう思ったのも、ほんの....
「世間師」より 著者:小栗風葉
わねえから、そうしねえ、よ。」 「知らない! こんな恥しい目に遭って、私ゃ人にも
顔向けできない、死んでやる!」と言って、女房は泣伏してしまった。 ....