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顔貌
「顔貌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顔貌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
見えて、駕籠《かご》の中の侍が外へ出た。侍はすぐに編笠をかぶったが、ちらりと見た
顔貌《かおかたち》は瀬沼兵衛に紛《まぎ》れなかった。左近は一瞬間ためらった。ここ....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
老人も紙銭の中から出て来て、李と一しょに、入口の石段の上に腰を下したから、今では
顔貌《かおかたち》も、はっきり見える。形容の枯槁《ここう》している事は、さっき見....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
まアどうも、誠に面目次第もない、私も先刻《さっき》から見た様な人だと思ってたが、
顔貌《かおかたち》が違ったから黙ってたが、どうも実に私は親子と名乗ってお前に逢わ....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
萎《しな》びた古手拭のような匂いが沁《し》みているような気がしてならなくなった。
顔貌にもなんだかいやな線があらわれて来て、誰の目にも彼の陥っている地獄が感づかれ....
「のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
はいられなかったが、まだ日の光の新しい午前の往来で、自分がいかにも病人らしい悪い
顔貌《がんぼう》をして歩いているということを思い知らされたあげく、あんな重苦しい....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
段々と気持も落付き、この上強いて気になることを神経質に数えあげるならば、主人公の
顔貌が能面でもあるかのように上品すぎることと、その胆汁が滲みだしたような黄色い皮....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
る胡面梵相とでも云いたい、まるで道釈画か十二神将の中にでもあるような、実に異風な
顔貌だった。そして、頭に印度帽を載せたところといい――そのすべてが、一語で魁異と....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
鑑定事項 一、大正六年押第二八八号二十八の頭蓋骨につき其者の性、年齢、
顔貌の特徴、栄養の程度及び能うべくば死因の鑑定をする事。 特に上顎門上歯が幾分前....
「リギ山上の一夜」より 著者:斎藤茂吉
とき、どうも瑞西の住民は独墺人などとは人種の違うところがある。猶太人などと共通の
顔貌をした者が幾らもいるなどと思ったのであった。ただ鼻が大きく眉の濃い者がいて、....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ばあぢきなく男じものや恋ひつつ居らむ 〔巻十一・二五八〇〕 作者不詳 あの女の
顔貌が忘られてしまうものなら、男子たるおれが、こんなに甲斐ない恋に苦しんで居るこ....
「株式仲買店々員」より 著者:ドイルアーサー・コナン
との上に、声と様子とが同じであると云うことと、そして剃刀と仮髪とさえあれば人間の
顔貌は変えられると云うことを考え合せると、私はその二人が同じ人間であると疑わざる....
「短歌の詩形」より 著者:寺田寅彦
容易に分析することが出来ないようになってしまっているように思われる。我等の同胞の
顔貌の中にはまたあらゆる人種の定型がそれぞれに標本的に洩れなく代表されているよう....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
という噂を聞いたが、石川の娘で許嫁といえば私より他に無い筈だが、幼年の折に別れて
顔貌を知らぬに付け込んで何者かに欺むかれ、斯る苦界に沈んで居るとは如何にも不憫、....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
向って事務長が末座に位置する。長身の、まだ若いが、職掌柄だけに凛として気の利いた
顔貌と風采の持主だ。左舷寄りの上席には門司鉄道局の船舶課の、かなりの上役らしい人....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
になった二方の壁にはめ込まれた鏡に向い、最近急に、自分でも驚くほどに変った自分の
顔貌をうつし眺める毎に、いつでもそうした事など考えては、いろ/\の感慨にふけるの....