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「顛動〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

顛動の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
運命論者」より 著者:国木田独歩
どう》じゃな、其方が近道じゃぞ。』という父の言葉を聴《き》いて居る、僕の心の全く顛動《てんどう》したのも無理はないでしょう。 これ実に他人の言葉です。他人の親....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
おく》の中《うち》へ立入ッてみれば、実に一方《ひとかた》ならぬ変動。あたかも心が顛動《てんどう》した如くに、昨日《きのう》好いと思ッた事も今日は悪く、今日悪いと....
石狩川」より 著者:本庄陸男
ところの長柄の鳶《とび》に、その手心は似ているにちがいない。筏《いかだ》にくめば顛動《てんどう》する危なかしさもないであろう。ゆらゆらと流されて河口に近づけば、....
昭和十五年度の文学様相」より 著者:宮本百合子
四年たって面上に落ちかかって来たときは、その震動の激しさで、外ならぬその発言者が顛動的上下動に身をさらすこととなったのである。 文学にあらわれたこの深淵は一般....
古狢」より 著者:泉鏡花
と寂しく笑いつつ、毛肌になって悚とした。 「ぎゃっと云って、その男が、凄じい音で顛動返ってしまったんですってね。……夜番は駆けつけますわ、人は騒ぐ。気の毒さも、....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
遣れたら、それだけでも何分かの事はあった訳だからね。それに、僕は昨日あの人の心を顛動させて遣ったように思うんだよ。」 彼がスクルージの心を顛倒させたなぞと云う....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
まり込んでいる。背を丸く首を傾《かし》げた姿を見るとどんなに世の荒波がこの善人を顛動《てんどう》させ、こうも呆《ぼ》けさせたかと痛ましかった。 私はこの老女《....
黒百合」より 著者:泉鏡花
とく一飛に走り着いて、転んだ地へ諸共に膝を折敷いて、扶け起そうとする時、さまでは顛動せず、力なげに身を起して立つ。 「どこも怪我はしませんか。」と人目も構わず、....
夏の花」より 著者:原民喜
出す。この私よりかなり年上の、しかし平素ははるかに元気なKも、どういうものか少し顛動《てんどう》気味であった。 縁側から見渡せば、一めんに崩れ落ちた家屋の塊《....
星女郎」より 著者:泉鏡花
ました。さあ、慌てたのは、手拭、蝦蟇口、皆無い。さまでとも思わなかったに、余程|顛動したらしい。門へ振落して来たでしょう。事ここに及んで、旅費などを論ずる場合か....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
し、母親から粗野奔放な心を受け継いでいた。そして、祖父の乱暴と革命的宣言とに心|顛動《てんどう》していた。重い乗合馬車が通るとき店が揺れるのと同じように、彼のう....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の一身や財産に打撃を被っても、あえて動じないような人をも、時としてその心を撃って顛動《てんどう》せしむるあの神秘な恐るべき打撃が、当時彼がふけっていた娯楽や逸楽....
四十八人目」より 著者:森田草平
そこにその家を出てしまった。 街の上へ出た時、彼は自分で自分が分らなくなるほど顛動していた。彼が予期したことはまるで反対の結果になった。兄に打明けて、兄から同....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
い狂って飛びつきそうにせまっている。ここに至って、逆上ぎらいの石川淳も万策つきて顛動し、ズボンのボタンをはめるのに手のふるえがとまらず、数分を要したという菅原記....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
様の後を追い……」 「お母様アーッ」 「お母様アーッ」 意外の事の真相に、心を顛動させた二人の娘は、左右から母へすがりついた。 「そうとは知らずお母様を怨み…....