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「顧みる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

顧みるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
沙金は弓をあげて、一同をさしまねいたが、しょんぼり、指をかんで立っている、阿濃を顧みると、またやさしくことばを添えた。 「じゃ、お前はここで、待っていておくれ。....
或る女」より 著者:有島武郎
に見いだすように思って、その五|分刈《ぶが》りにした地蔵頭《じぞうあたま》までが顧みるにも足りない木のくずかなんぞのように見えた。 やせた木部の小さな輝いた目....
二つの道」より 著者:有島武郎
びその弱い足の上に立ち上がる。 八 さりながらその人がちょっとでも他の道を顧みる時、その人はロトの妻のごとく塩の柱となってしまう。 九 さりながらま....
外科室」より 著者:泉鏡花
。渠らは服従をもって責任とす。単に、医師の命をだに奉ずればよし、あえて他の感情を顧みることを要せざるなり。 「綾! 来ておくれ。あれ!」 と夫人は絶え入る呼吸....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
決して済むものであるならば、その悲惨は必ずしも惨の極なるものではない。一身係累を顧みるの念が少ないならば、早く禍の免れ難きを覚悟したとき、自ら振作するの勇気は、....
海異記」より 著者:泉鏡花
ものは、――今日は、三ちゃんばかりじゃないか。」 と女房は早や薄暗い納戸の方を顧みる。 十二 「ああ、何だか陰気になって、穴の中を見るようだよ。....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
物園の近所には田があった。東京の到る処に昔の江戸の残り物があった。 二十五年は顧みると早いようだが、中々長い歳月である。大抵な大事業は計劃せられ、実行せられ、....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、あとへ、あとへ、漂って消えて行くから、峠の上下、並木の往来で、ゆき迎え、また立顧みる、旅人同士とは品かわって、世をかえても再び相逢うすべのないような心細さが身....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
るよしして、四辺を見ながら、その苫船に立寄って苫の上に片手をかけたまま、船の方を顧みると、千鳥は啼かぬが友呼びつらん。帆の白きより白衣の婦人、水紅色なるがまた一....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
。悪いものは、これを適当に感化誘導して、正に帰せしむべきである。然るに何等玉石を顧みることなく、霊媒の全部を精神異常者と見做して、懲罰を加えんとするに至りては、....
健康三題」より 著者:岡本かの子
所換えに依って新らしくそそられた感興の湧くに任せてぐんぐん仕事に熱中し出して娘を顧みる余裕を失ったが、娘は起きるから寝るまで私の部屋に来て、黙ってく気持もしない....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
この青年はどうかしてやらなければいけない。だがそう思う途端に、忽ちかの女は自分を顧みる。危い性分である。人一倍情熱を籠めて生れさせられた癖に、家柄の躾けや病身の....
晩春」より 著者:岡本かの子
間に浮島のように存在する自分の家を呪った。彼女は、自分の内気な引込み思案の性質を顧みるより先に、此の住居の位置が自分を現代的交際場裡へ押し出させないのだと不満に....
妖怪学一斑」より 著者:井上円了
これは鬼神の所為である、偶然に出ずるものであるとなし、全くこれを道理の外において顧みるものがないようであるが、果たしてこれは道理の外に存するものであるかどうかと....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
。人々は、これを私の性慾の変形だと片付けそうである。しかし、私自身の生理の歴史を顧みるのに、すべて人並に順調だったし、結婚から子供までも産んで居る。そしてもし、....