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顫動
「顫動〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顫動の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
北は三里という薬研《やげん》の底のような谷地であるが、今憶い出しても脳神経が盛に
顫動《せんどう》をはじめて来る心地のするのは、晶明、透徹のその水、自分にあっては....
「家霊」より 著者:岡本かの子
ひきと、柄鍋の中へ移す。握った指の中で小魚はたまさか蠢《うご》めく。すると、その
顫動《せんどう》が電波のように心に伝わって刹那《せつな》に不思議な意味が仄《ほの....
「蠅」より 著者:海野十三
うな眼玉が二つ、クルクルと動いていた。畳一枚ぐらいもあるような翅がプルンプルンと
顫動していた。物凄い怪物だッ! 「先生。恒温室の壁を破って、あいつが飛び出したん....
「河明り」より 著者:岡本かの子
に裂け拡がり、白眼の中央に取り残された瞳は、異常なショックで凝ったまま、ぴりぴり
顫動していた。口も眼のように竪に開いていた。小鼻も喘いで膨らみ、濃い眉と眉の間の....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
から、反射的に彼の肩を掴んだ検事の手があったのも知らず、またそれから波打つような
顫動が伝わってくるのも感ぜずに、ひたすら耳が鳴り顔が火のように熾って、彼の眼前に....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
ませんか。――――とね。」 最後の一句が終らぬうちに、ジナイーダの総身に細かい
顫動が戦いた。が、次の瞬間、彼女はカラカラと哄笑って、「これは驚きましたわね。私....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
が、今の風雨で初まったのだという、谷の角から谷の角へと屈折し、反響して、空気の大
顫動が初まったのである、この山はいつ頃出来たのであろう、そうして何百万年もこうし....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ないと思った。この問題に奥深く底の底まで頭を突ッ込むとき、そこに必ず私らの全身を
顫動せしめるほどの価値に触れることができるだろうと思った。 その頃から私は哲学....
「地球要塞」より 著者:海野十三
の触角《しょくかく》のようなものが出ていて、これがたえず、ぷりぷりと厭《いや》な
顫動《せんどう》をつづけているのだ。 球形の兜の中にある顔は、どうしたわけか、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に低いが、それでも寺院の石がオルガンの低い音響にふるえるように、船のなかではその
顫動を感じるのだ。 音響とおなじことで、物の色もやはりそうだ。化学者には太陽の....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
化した声調となったためとも解釈することが出来る。即ち憶良のこの歌の如きは、細かい
顫動が足りない、而してたるんでいるところのあるものである。 ....
「初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
につくような赤軸の鉛筆で記事のノートを取るような風をしながら、その鉛筆の不規則な
顫動によって彼の代表している犯人の内心の動乱の表識たるべき手指のわななきを見せる....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
は極めて繊細であるが、よく味ってみれば作者の弛みなき神経が仏像を一貫して、活きて
顫動している。そして全体は金色にかがやいている。眩いようである。 おかしなこと....
「春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
ら幾十年、こんど久し振りで三途の川の対面である。互いの微苦笑が、頬の神経に細かい
顫動を与えたことであろう。 さて、星うつり物かわり昭和十三年の暮れ、野間清治の....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
、全体が動揺する。魂のあらゆる|色合い。憂鬱。不安な荒々しい力。樹の葉の中の風の
顫動。誇らしげな喇叭乱吹。全体が少しずつ、少しずつ勢の中へ引き込まれる。ロンドは....