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「顰める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

顰めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
赤外線男」より 著者:海野十三
訊ねた。 「なんですか、どうも気味の悪い話なんでござんすよ」と内儀さんは細い眉を顰めると、赤い裏のついた前垂を両手で顔の上へ持っていった。「あのアパートの五階に....
うつり香」より 著者:近松秋江
りがしていた。 他人になった今でも、それを聞けばお前は、またかといってさぞ顔を顰めるであろうが、年暮に入用があって故郷から取り寄せた勧業銀行の債券が昼の間に着....
狂乱」より 著者:近松秋江
いう。 私はつくづくと彼ら母子の者の世にも薄命の者であることを思いながら、眉を顰めるようにして、 「あんた、銭を儲けなければならないなんて、それは何とか出来る....
」より 著者:徳田秋声
て来る父親の血が流れているらしかった。 「女の酒は厭味でいけない。」 時々顔を顰める笹村も、飲むとどこか色ッぽくなる女を酔わすために、自分でわざと飲みはじめる....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
べき傾向を孕んでいる。たとえばいわゆる演説家とクリスチャンの増加するのは私は眉を顰める。演説家はまだいい、クリスチャンの踵を接して生ずるのは最も苦々しき事実であ....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
で。鬢の色っぽい処から……それそれ、少し仰向いている顔つき。他人が、ちょっと眉を顰める工合を、その細君は小鼻から口元に皺を寄せる癖がある。……それまでが、そのま....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
と半ば呟くがごとくに云って、 「では、昨夜あたりはさぞ……」 と聞く方が眉を顰める。 「ええ、酷うございました、どうせ、夜が寝られはしないんですから、」 「....
縁結び」より 著者:泉鏡花
よそから来た私にゃ、名を聞かなくっちゃ分らんじゃないか、どなただよ。」 と眉を顰める。 「そんな顔をなすったってようございます。ちっとも恐くはありませんわ。今....
黒百合」より 著者:泉鏡花
、小さな、数知れぬ蝶々で。 お雪は双の袂の真中を絞って持ち、留まれば美しい眉を顰める少年の顔の前を、絶えず払い退け、払い退けする。その都度|死装束として身装を....
美醜」より 著者:豊島与志雄
の身体など、所嫌わず、飛び廻る。 虫を嫌う友人などは、そうした私の書斎に、眉を顰める。が私は、一二の人間の気を迎えるために、窓を閉めることもしたくないし、或は....
作家的思想」より 著者:豊島与志雄
過ぎながら、一種病的な臆病な気もちを感じた。彼は自分でもその気もちを恥じて、顔を顰めるのであった。彼は下宿の借金が嵩んでいたので、主婦と顔を会わすのが怖かったの....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
側から掻巻をかかげ、入り込もうとしている久米八は、さぞ自分が残した、温かみに眉を顰めることであろう。 そうでなくてさえ儀右衛門は、そうと知ってからというもの、....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
ればなりません。これが真実の幸福です。』 『解悟……。』イワン、デミトリチは顔を顰める。『外部だとか、内部だとか……。いや私にはそう云うことは少しも解らんです。....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
をちょっとひねって、仰向いて目を細めた。もう赤くなっている。 「どうも。」と眉を顰めるとまた、赤っ面を振って、 「さびしゅうしてならんけん。誰も彼もぐうぐう鼾ば....
春泥」より 著者:久保田万太郎
気がした。 小倉の顔を見るとすぐかれはそれをいった。 「旅行中だ?」小倉は眉を顰めるようにした。「で、どこへ行ったといった?」 「それは聞かなかったが、お嬢さ....