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風を切る
「風を切る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風を切るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
没し始めた。そうしてその顔と共に、何本かの軍刀が、忙《いそが》しく彼等の周囲に、
風を切る音を起し始めた。
それから後《のち》の事は、どうも時間の観念が明瞭でな....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
揺すり上げた。すると、家全体がミシミシ気味悪げに鳴り出して、独楽《こま》のように
風を切る音が、それに交った。しかし、その物音も、しだいに振幅を狭めて薄らいでくる....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
あらかたきまって、「かお」のパスが利くようになれば、昔のようにタンカを切り、肩で
風を切るようになるので、結局、江戸ッ子復興の途中にあるのかも知れぬ。 それを記....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
たほど、じつにそれが意想外の人物だったのだ。 無疵のルチアノ――いまタマニーに
風を切るニューヨーク一の大親分。牝鶏フロー、彼の情婦で魔窟組合の女王、千人の妓と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
それは小男としては大股に歩くのですが、足には太い鼻緒の高下駄で、そうして肩で
風を切るというけれども、その風の切りっぷりが鮮か過ぎるので、少々身をうつむきかげ....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
ートな所は微塵もなく、あくまで不恰好に出来上っているが、その重量の加速度によって
風を切る速力的な美しさは、スマートな旅客機などの比較にならぬものがあった。 見....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
り出した。 荒涼たる焼石の原から、柔かい緑の丘へ、二頭の馬はたてがみで高原の涼
風を切る。 夫人は昵懇らしい百姓家に、馬を預け飼料をやるように頼むと、鞭をステ....
「空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
いか! その男はしばらくは不動のままである。やがて指は引金にかかった。異様な高い
風を切る音、――それから銀のような、硝子を破る音、――。と、これに間髪を容れず、....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
、その時鋭い声が、いや、幽鬼的の兇暴の声が、背後にあたって響き渡った。 同時に
風を切る音がした。 「あれ!」 「伯父上!」 ガラガラガラ! 体は長身、髪は....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
見廻している。 紋太郎はろくに狙いもせず筒口へ唇を宛たかと思うと、ヒュ――ッと
風を切る音がして一筋の白光空を貫きそれと同時に樹上の鳥はコロリと地面へ転げ落ちた....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ものか、長身|痩躯の彼の体は、賊勢の只中に飛び込んでいた。またもやピューッという
風を切る音、同時にバタバタと倒れる音、「エイ」と軟らかい引き呼吸、もうその時には....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
声を上げはしませんが、一番|生命がけで、むっくり起上ると、フイと背後向になって、
風を切るようにすっと引返しました。その時は背筋のあたり、真白な襟を艶々した髷ね、....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
となってしまった。竹馬の友の万年博士は一躍専門学務局長という勅任官に跳上って肩で
風を切る勢いであったから、公務も忙がしかったろうが、二人の間に何か衝突もあったら....
「紅すずめ」より 著者:小川未明
なたは、きっと、あの風のために、どこへか飛ばされてしまうにちがいない。まず、あの
風を切る工夫をしなければなりません。」と、こまどりはいいました。 すずめは、大....
「はつ恋」より 著者:神西清
である。…… 「ちえっ、鞭がない」と、父はつぶやいた。 わたしは、ついさっきの
風を切る唸りと、その鞭がぴしりと鳴った音を思い出して、おもわず震え上がった。 「....