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風向き
「風向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
い。その上康頼は難有《ありがた》そうに、千本の卒塔婆《そとば》を流す時でも、始終
風向きを考えていたぞ。いつかおれはあの男が、海へ卒塔婆を流す時に、帰命頂礼《きみ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
るそうです。
そのほかまだ数え立てれば、砲兵|工廠《こうしょう》の煙突の煙が、
風向きに逆って流れたり、撞《つ》く人もないニコライの寺の鐘が、真夜中に突然鳴り出....
「或る女」より 著者:有島武郎
第一の発言権を持っているといわんばかりに、いろいろと話し出した。事務長はしばらく
風向きを見計らって立っていたが突然|部屋《へや》を出て行った。葉子はすばやくその....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て悲むほどの君子でもなかろう。悪くすると(状を見ろ。)ぐらいは云うらしい主税が、
風向きの悪い大人の風説を、耳を澄まして聞き取りながら、太く憂わしげな面色で。 ....
「人間灰」より 著者:海野十三
呼び出した。 「ああ、こっちはK署ですが。あのウ、右足湖を中心とする一帯の風速と
風向きとを伺いたいのですが、昨夕から今朝にかけてです。……なるほど、……なるほど....
「蠅男」より 著者:海野十三
ですなア、今も昨夜も、ちっとも変ってえしまへん。北西の風だす」 消防手だけに、
風向きをよく知っている。 「北西というと、こっちになりますね。どうです、消防手さ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
奮闘している身は、気がつかない。 そのうちに少し明るくなってきた。煙がうすれ、
風向きが変わって、呼吸も楽になった。これなら何とか危機を脱せそうだと、やっと希望....
「地球盗難」より 著者:海野十三
と、どうしたのか甚平の面には突如としてひどい苦悶の色が浮かんできた。 「こいつは
風向きが悪いぞ。ナムケンゲンコーリ、ナムケンゲンコーリ。あーらカンツーム、ヴィス....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
は船に乗り込んだ。大きな大檣帆は暫く音を立ててはためいていたが、やがてその位置を
風向きに調節されると、白鮫号は静かに走り出した。 東屋氏は紙巻に火を点けると、....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
回してゆけば格別、さし渡しにすれば私の家から一町あまりに過ぎない。風上であるの、
風向きが違うのと、今まで多寡をくくっていたのは油断であった。――こう思いながら私....
「地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
ーと、顔を見合せた。 「おい、一等運転士。これは一体、どうするね」 「は、船長。
風向きは幸い北西ですから、当分このままに流されていったら、どうでしょうか」 「ま....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
張りあの御神剣のお蔭だったそうで、燃ゆる火の中で命がその御鞘を払われると同時に、
風向きが急に変ったのだと申すことでございます。右の御神剣と申すのは、あれは前年わ....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
、あれあれと大風呂敷を持って二階に上がり、縮図本をすっかり包みました。そのうちに
風向きが変わり、もう心配はないというので、三階に上がり、男達のいる屋根にのぼり、....
「縮図帖」より 著者:上村松園
出火して、画室の障子が真赤になり、火の粉が屋根の上へぱらぱらと降りかかって来た。
風向きも怪しかったし、 「こりゃ駄目かな」と思った。 そのとき永年住みなれた画....
「火に追われて」より 著者:岡本綺堂
してゆけば格別、さし渡しにすれば私の家から一|町あまりに過ぎない。風上であるの、
風向きが違うのと、今まで多寡をくくっていたのは油断であった。――こう思いながら私....