風波[語句情報] »
風波
「風波〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風波の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
り。冷々然たるはひとりかの怪しき美人のみ。 一身をわれに任せよと言いし御者は、
風波に掀翻《きんぽん》せらるる汽船の、やがて千尋《ちひろ》の底に汨没《こつぼつ》....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
衣裳をつくろわず、化粧を剥がして渡るのである。美服美粧して渡るときは、たちまちに
風波が起った。ただし醜い女は粧飾して渡っても、神が妬まないと見えて無事であった。....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
過失もないつもりで居りますのに、夫は昨年から更に盧氏の娘を娶りましたので、家内に
風波が絶えません。又その女が気の強い乱暴な生まれ付きで、わたくしのような者にはし....
「厳島合戦」より 著者:菊池寛
毛利方は喜び、陶方は失望した。 宛もよし、九月|晦日は、俄かに暴風雨が起って、
風波が高く、湖のような宮島瀬戸も白浪が立騒いだ。 此の夜は流石の敵も、油断をす....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
りますと、御覧の通り不穏な駿河湾が、山の根を奥へ奥へと深く入込んでおりますから、
風波の恐怖といってはほとんどありません――そのかわり、山の麓の隅の隅が、山扁の嵎....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
予兆も前触れもなしに、意外な人が思わぬ人の手にかかってしまった。 それまでは、
風波といっては別にない家庭で……、ただ、末起の母が結核にかかったこと、従って謙吉....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
の報告があって、余は総員に、部署を離れ充分に休養するよう――命じた。 ここは、
風波の憂いもなく、敵襲の怖れもなく、世界中で最も安全な地点である。しかも、激務を....
「光は影を」より 著者:岸田国士
しみじみと語るかわりに、女心のさまざまを面白可笑しく話す、その話しぶりに、現実の
風波をくゞつた、冷たい皮肉がちらちらと顔を出すことであつた。それだけは、たしかに....
「取舵」より 著者:泉鏡花
神の御声に気を奮い、やにわに艪をば立直して、曳々声を揚げて盪しければ、船は難無く
風波を凌ぎて、今は我物なり、大権現の冥護はあるぞ、と船子はたちまち力を得て、ここ....
「妖怪学」より 著者:井上円了
て、事実これに合するがごときこれなり。俗説とは愚俗の説明にして、例えば、海上にて
風波に際会すれば、愚俗これを解して曰く、「海神、祟をなすなり」と。また、山上にあ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
真理はなお空気のごときか、色なきがごとくにして色あり。 政教子、一日太平洋上の
風波の穏やかならざるを見て曰く、海上の
風波はあたかも社会の変動のごとし。人あり、....
「西航日録」より 著者:井上円了
の宅にて丘道徹氏および山名、西尾等の諸氏に会す。 二十一日未明、門司解纜。海上
風波あり。西航五百里、シャンハイ河口なる呉淞に達せしは二十二日夜半なり。翌朝八時....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
後ただちに暗黒となる。まことに昼夜平分なり。これ、赤道の近きを知るに足る。幸いに
風波穏やかにして、船の動揺を覚えず。 呂宋海上向。 (呂宋の海上を南東に向かい、....
「「にんじん」とルナアルについて」より 著者:岸田国士
をとどめず、むしろその高度なヒュマニズムが、愛憎の心理の機微を公平に捉え、人生の
風波に雄々しく耐えて、いっさいをほろ苦い微笑でつつもうとしているからだと思う。 ....
「雨」より 著者:織田作之助
は流れるように無事平穏な日々であったが、それらの日々は豹一にとっては日毎に小さな
風波を立てゝいた。彼は自分ではそれと気付かなかったゞろうが、自尊心のからくりによ....