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風炉
「風炉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風炉の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、お座ぶとんは絹布でしょう。火おけは南部|桐《ぎり》のお丸胴でね。水屋があって、
風炉《ふろ》には松風の音がたぎっているし、これはまたどうでがす。気がきいてるじゃ....
「カズイスチカ」より 著者:森鴎外
「下顎の脱臼は昔は落架風と云って、或る大家は整復の秘密を人に見られんように、大
風炉敷《おおぶろしき》を病人の頭から被《かぶ》せて置いて、術を施したものだよ。骨....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
し(九) 第四章はもっぱら茶器の二十四種を列挙してこれについての記述であって、
風炉(一〇)に始まり、これらのすべての道具を入れる都籃に終わっている。ここにもわ....
「不審庵」より 著者:太宰治
者は茶客の資格が無いものと見なされて馬鹿を見る事になるのである。夏は炉のかわりに
風炉を備えて置く事になっているが、
風炉といっても、据風呂ではない。さすがに入浴の....
「黒髪」より 著者:近松秋江
重ね箪笥を二|棹も置き並べ、向うの左手の一間の床の間にはちょっとした軸を掛けて、
風炉釜などを置いている。見たところ、もう住み古した雑な座敷であるが、それでも八畳....
「青年」より 著者:森鴎外
這入った。時候が好いので、近在のものが多く出ると見えて、札売場の前には草鞋ばきで
風炉敷包を持った連中が、ぎっしり詰まったようになって立っている。 「どこにしよう....
「里芋の芽と不動の目」より 著者:森鴎外
門番で米擣をしていた爺いが己を負ぶって、お袋が系図だとか何だとかいうようなものを
風炉敷に包んだのを持って、逃げ出した。落人というのだな。秩父在に昔から己の内に縁....
「食堂」より 著者:森鴎外
も、片手に弁当箱を提げて出て来る。あらゆる大さ、あらゆる形の弁当が、あらゆる色の
風炉鋪に包んで持ち出される。 ずらっと並んだ処を見渡すと、どれもどれも好く選ん....
「鶏」より 著者:森鴎外
発見したというのだ。」 「はてな。」 「君が毎日出勤すると、あの門から婆あさんが
風炉敷包を持って出て行くというのだ。ところが一昨日だったかと思う、その包が非常に....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
りながら、ウコギやウルシの若葉のおひたし、山蕗の胡麻よごしを思い描く。それから初
風炉の茶湯懐石の次第にまで深入りする。汁、向う付、椀、焼物……と順次に六月の粋を....
「茶の本」より 著者:岡倉由三郎
、ひいては芸術の鑑賞にも及んだもので、バターの国土の民をして、紅茶の煙のかなたに
風炉釜の煮えの別天地のあることを、一通り合点行かせる書物としては、おそらくこれを....
「挿話」より 著者:徳田秋声
っこう仕事はできそうであった。 お絹はいつでもお茶のはいるように、瀟洒な瀬戸の
風炉に火をいけて、古風な鉄瓶に湯を沸らせておいた。 「こんな
風炉どこにあったやろ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
「おおそうか。ではこのお子は、要人殿の義理の甥御か」
妙秀はそういいながら、
風炉先のそばを離れて、武蔵と息子の前へすすみ、優雅に茶式の礼儀をした。
もう七....
「大谷刑部」より 著者:吉川英治
念をも――友に告げてしまうと、三成は、後を心すずしげに、静かに、隅へ立って、茶の
風炉釜に向っていた。 遠い磯鳴りのような釜の湯音のうちに、更けた夜を感じながら....