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「颶風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

颶風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
めていた。 しかし、どう考えても此のままで済もうとは思われなかった。やがて廓の颶風《はやて》がここへ舞い込んで来て、それからいろいろの渦を巻き起すことはありあ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
だ半刻あまりの間があることは誰も知っていた。かれは高い空を指さして又叫んだ。 「颶風がくる。天狗が雲に乗ってくる」 今度かれが指さしたのは沖の方でなかった。か....
朱日記」より 著者:泉鏡花
飛ぶ気勢する。 「この前の時間にも、(暴風)に書いて消して(烈風)をまた消して(颶風)なり、と書いた、やっぱり朱で、見な…… しかも変な事には、何を狼狽たか、....
赤外線男」より 著者:海野十三
のだから、知ると識らざるとを問わず、どこからどこの隅々まで、一大センセイションが颶風の如く捲きあがった。 「赤外線男というものが棲んでいるそうだ」 「そいつは、....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
続ける灰色の海の水平線が、奇妙に膨れあがって、無気味な凸線を描きはじめる。多分|颶風の中心が、あの沖合を通過しているに違いない。東屋氏は再び続ける。 「――只今....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
の年の夏は先ず無事に済んでいたのですが、どういう陽気の加減か、その年は十月の末に颶風のような風がふき出して、石ころのような大きい雹が雨まじりに降る。それと一緒に....
海底都市」より 著者:海野十三
と、その林がとつぜんゆらゆらと大きくゆれるのであった。すると林の中から、まっ黒な颶風《ぐふう》の雲のようなものが現われ、急行列車のようなすごいスピードで走る――....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
それ迄はいい、それ迄は難は無えんだが、それから三日許り経つと、イフヒムの野郎が颶風の様に駆け込で来やがった。 「イフヒムの野郎」と云った時、ヤコフ・イリイッチ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
ますか、火で焼けますか、地震だって壊せやしない。天を蔽い地に漲る、といった処で、颶風があれば消えるだろう。儚いものではあるけれども――ああ、その儚さを一人で身に....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
「どうかしている。」 第一に南瓜畠が暗かった。数千の葉が庭ぐるみ皆|戦いだ。颶風落来と目がくらみ、頭髪が乱れた。 その時、遣場に失した杯は思わず頭の真中へ....
秋の筑波山」より 著者:大町桂月
関城主は誰ぞや。関宗祐、宗政父子也。延元三年、親房は宗良親王を奉じて東下せしに、颶風に遭ひて、一行の船四散し、親房は常陸に漂着し、ひと先づ小田城に入る。然るに城....
多神教」より 著者:泉鏡花
飛びに飛返ってござる。が、ここは風が吹きぬけます。途すがら、遠州|灘は、荒海も、颶風も、大雨も、真の暗夜の大暴風雨。洗いも拭いもしませずに、血ぬられた御矢は浄ま....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
不思議だね。実はこちらでも若殿がブラブラ病。ブラとブラとの鉢合せでは提灯屋の店へ颶風が吹込んだ様なものだ」 「なんですか知りませんが、あれは本物で御座いますよ。....
百喩経」より 著者:岡本かの子
てならなくなった。 陀堀多は黍の中で泣いた。 殺天喩 一隊商が曠野で颶風に遇った時、野神に供うる人身御供として案内人を殺した。案内人を失った隊商等の....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
たほどだった。 兵庫から船へ乗った。彼は思索に思い入りながらすぐ寝てしまった。颶風が襲って来た。今は船も覆るほどの大荒になって来た。船客も船頭も最早や奇蹟の力....