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「飛び立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

飛び立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
にいました。河童もやはり驚いたとみえ、目の上の手さえ動かしません。そのうちに僕は飛び立つが早いか、岩の上の河童へおどりかかりました。同時にまた河童も逃げ出しまし....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
に映していた。藪木《やぶき》の交《まじ》る針金雀花《はりえにしだ》、熊笹の中から飛び立つ雉子《きぎす》、それから深い谷川の水光りを乱す鮎《あゆ》の群、――彼はほ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
を思い出した。実際又ブランコ台の上には鴉が二三羽とまっていた、鴉は皆僕を見ても、飛び立つ気色さえ示さなかった。のみならずまん中にとまっていた鴉は大きい嘴を空へ挙....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
ばしら》の下に賽《さい》を転がしている。そのうちに勝負の争いを生じ、一人の水夫は飛び立つが早いか、もう一人の水夫の横腹へずぶりとナイフを突き立ててしまう。大勢の....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
まいる時にも、真先きに迎えに来てくれたのは矢張りあの娘でございました。その折私は飛び立つ思いで、今行きますよ……と申した事はよく覚えて居りますが、修行未熟の身の....
或る女」より 著者:有島武郎
るように立ち上がって激しく泣きながら葉子のふところに飛びこんで来た。葉子も思わず飛び立つように貞世を迎えて、長火鉢《ながひばち》のかたわらの自分の座にすわると、....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
て来る※みたいな泥の海に掻き残された大きな土塊の島が浮ぶ。馬が近ずくと一旦パツと飛び立つた桜鳥が、直ぐまたその土塊の島に降りて、虫をあさる。 また馬が廻つて来....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
若い店員が一人いる話がはいったからである。俵松には国へ帰るといってひまをもらい、飛び立つ思いで早速出かけていって雇われた。ここでは私は「栄吉」と名づけられた。十....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ア来られない、さ」 僕の返事は煮えきらなかったが、妻の熱心は「目くら」の一言に飛び立つようにからだを向き直し、 「えッ! もう、出たの?」と、問い返した。 ....
想い出」より 著者:上村松園
したが、〈四季美人図〉では十二円戴き、大変使い出があった事を覚えて居りまするが、飛び立つ程嬉しかったような記憶はなく、ただ、明治三十六年に〈姉妹三人〉を描きまし....
茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
部隊軍医少尉 平尾健一で、文句は「拝啓御勇健御奮戦大謝無限です。青山君との御写真飛び立つばかりうれしく拝見、老生このごろ涙もろく、涙が出ます。御歌も厳選にて困り....
赤外線男」より 著者:海野十三
ぐ間近かに、赤い灯火が点っていて、それに「便所」という文字が読めた。 彼女は、飛び立つ想いで、そこの扉を押した。扉があくと、そこには清潔な便器が並んでいる洋風....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
び去るためだ」 「毒瓦斯は元来空気より重きをよしとするのでありまするぞ。煙突から飛び立つような軽い毒瓦斯てぇのはありません」 「いや、その重い毒瓦斯の逃げ路も作....
決闘場」より 著者:岡本かの子
達の奮張る四つの靴で押し込まれ、跳ね返った。透明な芝草がよじれて引っちぎられて、飛び立つ羽虫のように飛んだ。 青年の生一本の競争慾は、いい加減で中止出来なかっ....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
その背後に梢を見せている河岸の菩提樹の夕闇を細かく刻んだ葉は河上から風が来ると、飛び立つ遠い群鳥のように白い葉裏を見せて、ずっと河下まで風の筋通りにざわめきを見....