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食指
「食指〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
食指の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
人《おっと》を全く無視して振る舞ったその母の最も深い隠れた弱点を、拇指《ぼし》と
食指《しょくし》との間《あいだ》にちゃんと押えて、一歩もひけを取らなかったのも彼....
「星座」より 著者:有島武郎
分の膚の温みはあの手紙からは消えているなと園は思った。園はそう思った。園は右手の
食指に染みついているアニリン染色素をじっと見やった。
おぬいさんは園のいる前で....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
(ペー)の風から良い手のつき出した男らしく、京吉はもうイーチャン打つことには十分
食指が動いていた。が、セントルイスで待っているカラ子のこともあった。 だから、....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
ばパチリッと盤面に打下《うちおろ》そうと手を伸ばした途端である。不意に何か吾輩の
食指《ひとさしゆび》の中央《まんなか》にポタリと落ちた冷たいものがある。 「オヤ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
来たか給仕の老人は輪切りにした牛骨の載れる皿を銀盤で捧げて立っている。老人は客が
食指を動し来る呼吸に坩を合せ、ちょっと目礼して匙で骨の中から髄を掬い上げた。汁の....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
アノ一派の対敵――その辺の消息が、皆目分っていない。また、その地へルチアノ一味が
食指を動かしているというについては、なにか驚くべき富源のようなものがなければなら....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
筈の女なんだ。厚い胸で、大きな腰で、腕ったら斯うだ。 と云いながら彼は、両手の
食指と拇指とを繋ぎ合わせて大きな輪を作って見せた。 面相だってお前、己れっちの....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
たその恋も無残に破れてしまったのである。けれども今もなお私は「月ヶ瀬」のぶぶ漬に
食指を感ずるのである。そこの横丁にある「木の実」へ牛肉の山椒焼や焼うどんや肝とセ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
そこに残されてしまった。しかも、それには一つの特徴があって、右手であるばかりか、
食指と無名指とがほとんど同じ高さであり、拇指はやや横向いていて、それと、小指との....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
約束を想い出して、さっさとホテルへ帰ってしまえばいいのだ。男が女に好奇心を感じ、
食指を動かすというのは既にして罪だ。何を好んで二重の罪を犯そうというのか。もっと....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
からは盛んに文学を煽り立てられ、弟分に等しい矢崎ですらが忽ち文名を揚ぐるを見ては
食指動くの感に堪えないで、周囲の仕官の希望を無視して、砂を噛んでも文学をやると意....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
軍が大刀を提げて大軍に臨んだごとき勢いを示し、強くここに神咒を唱えつつ、右の手の
食指を突立ててあたかも剣をもって空中を切断するように縦横無尽に切り立て、それでも....
「狐」より 著者:岡本かの子
では許されぬことだが、畜生道ならたいした障りでもあるまい。兎角、人の持ちものには
食指の動く方でな。 女決心した思い入れあって ――ええ、よろしゅうございます。夫....
「俗臭」より 著者:織田作之助
、貰わぬともいわず、例の煮え切らぬ調子だったが、見合用の写真を見るに及んで、些か
食指が動いた様である。小唄歌いの市丸にそっくりの年増美人だと、三亀雄などは気が気....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
うなものをよくよく見ると、どうやら人間の指の皮らしいのです。調べた結果、有喜子の
食指の内側がそげていたということなども分ってまいりました。 しかし有喜子が何の....